南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
1・2
担当者
梁 暁虹
講義題目 古代漢字文化圏に於ける文明交流史
開講キャンパス 瀬戸キャンパス サテライトキャンパス
講義内容  漢字文化圏は、中国・日本・ベトナム・朝鮮の東アジア一帯を包括し、古代より近代に至る長い歴史を持つ。元来、独自の言語文化をもつ日本・ベトナム・朝鮮は、初期の段階では漢文をそのまま使用し、中華文明の吸収に努めたが、その後、漢字に様々な工夫を加え、各自の文字文化を発展させ、文化交流によって、多大な刺激と影響を与えつつ、相互の文化発展に寄与してきている。本講義は、かかる文化交流の歴史的展開を、次の三項目に分けて、分析的に見ていきたい。
(1)漢字文化の遡源及びその特色
(2)漢字文化の伝播
(3)漢字文化圏の形成及び相互交流
学修目標  この授業科目修了において達成すべき重要な目標は次の事項である。
(1)漢字発展の歴史と漢字文化について、基本的な事項、基本的認識を修得すること。
(2)漢字文化圏内諸国にて漢字の発展と相互文化交流について、深い認識を修得すること。
(3)漢字文化圏について、独自の歴史認識を持つことが望ましいが、基本的な知識をしっかり身につけること。
講義計画 1.はじめ、この講義の全体の構成を説明、学問的範囲を規定する。その後、漢字の起源—中国殷商時代と甲骨文から授業に入る。
2.漢字の発展—漢字の字形の変遷:古文字(甲骨文、金文、簡牘文、古文、篆文から隷楷(隷書、草書、楷書、行書)までを概観する。
3.漢字文化の特徴。漢字文化の中国国内伝播—漢字の中国国内の歴代少数民族に対する影響。
4.漢字文化の海外伝播の一—古代ベトナム;「儒字」、「字喃」;ベトナムの漢字文化。
5.漢字文化の海外伝播の二—古代高麗(朝鮮);三国(高句麗、百済、新羅)時代の漢字;新羅時代の「吏讀文」;李朝時代の「諺文」;朝鮮の漢字文化
6.漢字文化の海外伝播の三—古代日本;漢字の初伝来;「万葉仮名」;「片仮名」と「平仮名」;日本の漢字文化。
7.中国伝統文化の構成:儒教、道教、仏教;それら各自の特徴。
8.漢字文化圏の文明交流の一—儒教の海外への伝播:ベトナム;朝鮮。
9.漢字文化圏の文明交流の一—儒教の海外への伝播 :日本。
10.漢字文化圏の文明交流の二—中国仏教の海外への伝播 :漢文大蔵経。ベトナム;朝鮮。
11.漢字文化圏の文明交流の二—中国仏教の海外への伝播 :朝鮮から日本へ、中国から日本へ。
12.漢字文化圏の文明交流の三—漢文仏典と日本文化:漢文仏典と日本語。
13.漢字文化圏の文明交流の四—西洋科学の東洋への紹介;「明治維新」の日本と近代中国。
14.漢字文化圏の文明交流の五—日籍漢訳;科学技術術語と現代中国語。
15.期末試験 レポートを期末試験の代替とする。
評価方法  出席を重視。最終的には、出席率を参考とし、宿題約40%、レポート約60%を総合的にみて評価する
テキスト  教員が作った教材のプリントを使用する。
その他  学生は授業聴講をベースにし、問題、質問を出させるようにし、学問的研究能力を培うように努力し、究極的な目的として問題解決能力を身につけさせるようにしたい。