南山大学

 
指定
選必
期間
春学期
単位
年次
1〜4
担当者
服部 裕幸
他の科目との関連
履修対象学科
副題 情報科学と心の問題
授業概要  近年、人間のこころの解明が認知科学と呼ばれる学際的研究領域で進められています。そこでは、哲学、心理学、コンピュータ・サイエンス、生理学などさまざまな学問に基づいて多様なアプローチから人間の理解が試みられています。本講義では、これまでに明らかになった知見に基づいて、こころと脳の関係、人工知能の問題、言語理解などのトピックスを取り上げて、こころの問題と情報科学との接点を明らかにしつつ、知識やこころの本性を考察します。
学修目標  情報化社会において人間の心がどのような意味において問題になるか、ということを認識するとともに、現代においては心をどのように考えたらよいかということについて、各自が批判的視点と自分なりの意見を持つことができるようになることを目標とします。
授業計画  現代は情報化社会といわれています。コンピュータ・サイエンスを始めとしていわゆる情報科学の発展には目覚ましいものがあります。将来は高度なコンピュータ・システムを組み込んだロボットもできるでしょう。しかし、人間のように心をもった機械というのは可能なのでしょうか。もし不可能だとしたら、その理由は何なのでしょうか。この講義ではこうした問題を哲学の立場から考えてみたいと思います。具体的には、伝統的な哲学ではどのように考えられてきたのか、そして、現代ではどのように考えようとしているか、という点を見ていきます。
 受講にあたっては、プログラミングやコンピュータのハード・ウェアなどについての専門的知識は必要ありません。以下のような順番で講義をする予定です。

 1 :はじめに−−「情報化社会において心が問題となる一つの理由」−−
 2 :そもそも心とは何か
 3 :心の「特性」と思われるもの
 4 :常識は辻褄が合っていない!
 5 :困難をどう回避するか
 6 :本当にあるのは心の世界だけ?
 7 :Q. and A.
 8 :悲しいから泣くのか、それとも泣く「から」悲しいのか
 9 :脳と心の関係
 10 :コンピュータは人間より「計算」が得意!
 11 :人間の知能とコンピュータの知能の違いはどこにある?
 12 :サールの「中国語の部屋」
 13 :Q. and A.
 14 :人間は言語をどのように理解しているか
 15 :定期試験
評価方法 期末の試験によって成績評価を行う。
テキスト 教科書は使用しない。次のものをあらかじめ参考書として推薦しておきますので、授業を聞くことができなかった場合など、これらを読んで埋め合わせをして下さい。
土屋 俊『心の科学は可能か』(東京大学出版会)
J. R. サール『マインド』(朝日出版社)
長尾 真『人工知能と人間』(岩波新書)
他の文献については講義中に適宜あげる。
その他