06775 政治・経済の諸相3
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選必 |
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秋学期 |
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2 |
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1〜4 |
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友岡 敏明 |
他の科目との関連 | |
履修対象学科 | 全 |
副題 | 個人と政治・経済・国家とのかかわり——自由観の変遷—— |
授業概要 | 講義では、「自由観」の変遷をたどることを軸として、近代において自律的個人と民族国家の関係が織りなす政治・経済の諸相を追う。具体的には、人間の捉え方、したがって政治・社会・国家の捉えかたは時代とともに変わってきたこと、そして近代には近代の人間の捉え方が存在したことに注目し、近代の人間の特徴を、彼らがおかれた歴史状況や彼らの考え方を通して理解する。先ず、近代の歴史状況の大きな特徴の1つである、民族を単位とした中央集権的「国家」の出現に着目して、それがいかなる歴史的なプロセスによったかを見、次に、近代のいま1つの特徴である「自律的個人」の出現が上の「民族国家」と摩擦を起こすとき「自由主義」となるが、それは近代の出発点においてであり、近代国家の変貌とともに自由主義も変貌する次第を見る。 |
学修目標 | 近代国家がどのように出現したか、そのプロセスを理解し、同時に近代的人間(自律的個人)の出現と、その基礎となる思想構造を理解する。この理解によって、近代が流れ込んだ現代という時代を歴史的に位置づけ、もって、未来へと伸びるわれわれが住む時代の動向を展望することができる知見を養う。 |
授業計画 | 具体的な講義のスキームは以下のようである。 (1)講義全体の方向の説明 (2)現在の問題状況(社会構成の「リベラル・モデルか社会モデルか」) (3)ブルックハルトのいう近代の枠組み(近代の進行を支える二つの柱としての国家と個人) (4)近代国家出現の前段階(封建制とは) (5)近代国家の出現のプロセス(封建的無秩序から中央集権的秩序へ) (6)自律的個人の出現の背景とそれを支える思想構造(プロテスタンティズム) (7)解き放たれた個人のいくつかの相貌と自由の流れの概観(孤独な個人や発奮する個人) (8)権利主体としての個人(権利の請願、アメリカ独立宣言、世界人権宣言等) (9)自由な経済活動主体としての個人(アダム・スミス、トマス・ペイン) (10)自由な経済活動主体がもたらす繁栄(産業革命と資本主義の成果) ⑪自由な経済活動主体の影の部分(Climbing boysの事例を通して見る社会問題) ⑫国家の積極的働きにより自由が実現するとする新自由主義の登場( i ) ⑬国家の積極的働きにより自由が実現するとする新自由主義の登場( ii ) ⑭国家干渉の排除と活力重視のネオリベラリズムとその問題(永遠の問題) |
評価方法 | 問題意識への真摯な取り組み、したがって授業への取り組みにおける誠実度および出席状況を参照し(30%)、定期試験における達成度(70%)で見る。 |
テキスト | 指定しない。無料配付の資料で進める。 |
その他 | 授業中携帯ばかり眺めている学生や私語する学生は受講しないよう望む。机にうつ伏して眠りこける学生も歓迎しない。 |