南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
2〜4
担当者
友岡 敏明
他の科目との関連
他学科履修
副題 “政治の現在”のより深い理解のために。
授業概要 中世における政治思想と、その遺産から抽出された近代における政治思想を概観する。先ず、キリスト教(ヘブライズム)から人間の普遍的価値理念(「自由」と「平等」)や教会という政治権力とは別個の道徳的権威の存在の主張(「政教分離」と「権力の正統化」の観念)が発展した過程を見る。次いで、ヨーロッパの政治的価値のもう一つの源泉となるゲルマン諸民族の生活様式(ゲルマニズム)がもたらした政治的原理(「代表」、「能力」、「同意」)を資料に即して理解する。こうした中世における政治的思索の発展に加えて、近代における主権的な民族国家(ネーション・ステート)と不可侵の権利主体としての自律的個人との衝突がおりなす「革命」やその政治思想への反映としての社会契約思想に触れ、さらにそうした近代的思想が引き起こした大衆社会の出現について講じる。
学修目標 原典(テキスト)からの抜粋資料をコピーで配付することにより、思想学習の本質の実践に当たる。すなわち、生きた原資料に触れて知的追体験をする機会を得る。これと同時に、現在ある政治を歴史的展開の中におき、政治的に将来を展望することができる歴史的知見の養成とそのための基本的な知識の修得を目指す。
授業計画 1.思想の力とこれを学習する意味
2.キリスト教からのメッセージ(I)(天地創造における「神の似像」、「堕落と救済」の歴史、民族・身分・性別を超越する「神の子」)と後世への影響例
3.キリスト教からのメッセージ(II)(政教分離とゲラジウス原理)
4.アウグスティヌスの政治観(「神の似像」の応用と「地の国」と「神の国」の意味)と後世への影響
5.ゲルマンによるヨーロッパの作り変え(立憲主義の発祥)
6.法の優位(マグナ・カルタ、ブラクトン)と後世への影響
7.近代を向いた中世政治思想の大家(トマス・アクイナス)
8.近代を渇望した思想家(マキアヴェッリ)
9.「個人」観念の析出の理論的功労者(ルター、カルヴァン)
10.「個人」と「国家」の結合の試み(ホッブズとロック)
11.「個人」と「国家」の結合の試み(ルソー)
12.自由主義と放任(トマス・ペイン&アダム・スミス)
13.自由主義の変遷=国家消極説から積極説へ(T・H・グリーンとオックスフォード学派)
14.大衆社会の到来と新しい束縛(絶対専制君主から社会の圧力へ)(トクヴィル、ミル、オルテガ)
15.定期試験
評価方法 定期試験の成績で評価することを基本とするが、授業の妨害や不真面目な受講態度が発見された学生は30%の範囲で減点評価する。
テキスト 特に指定せず。
その他 特になし。