南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
1・2
担当者
岩野 一郎
講義題目 アメリカ連邦制度の成立と展開
開講キャンパス
授業概要  アメリカ合衆国の政体の特徴は連邦制度にある。合衆国憲法制定時に採用されたこの制度は、その後のアメリカ政治の枠組みを決定した。連邦政府成立以降の歴史の流れを眺めると、州権に対し連邦権限が拡大して行く傾向が見られる。本講義においては、植民地時代にまで遡り、連邦制度の起源を探り、憲法の成立を経て、その後主として「マーシャル・コート」の判決を眺めることにより、連邦権限の拡大を跡付ける。さらには南北戦争に至る過程での連邦制度の展開を考察し、南北戦争後の分裂した連邦国家の再統一において、司法部が果たした役割を検証する。
学修目標  アメリカ合衆国の構成単位である州はstateであり、合衆国は合州国と書くべきとする考え方も見られる。本講義では、stateが本来の意味である「国家」の側面を持ちながら、連邦制度を採用することによって「国家連合」から「連邦国家」へと移行したことにより、中央集権国家とは如何に異なった政体となって行ったのかを、歴史的事例を挙げながら考察する。アメリカの連邦制度の特質を十分に理解し、把握することが目標となる
授業計画  先ず植民地時代の連合案について眺め、独立期、連合の時代、憲法制定と批准、連邦権と州権の対立、nullificationの理論、南部連合の成立、南北戦争と再建、「不滅の州からなる不滅のユニオン」へと議論を進めて行く。以下順に各週のトピックを列挙する。
 1) Federalismの定義をめぐる問題
 2) The New England ConfederationとAlbany Plan
 3) “Declaration of Independence”の精読→如何なる政体の樹立を想定していたか
 4) “Articles of Confederation”によって成立した政体とその欠点
 5) The Federal Conventionでの議論
 6) The United States Constitutionの特質
 7) 憲法批准に果たしたThe Federalist Papersの役割
 8) Article VIとThe Tenth Amendment
 9) “Necessary and Proper Clause ”の持つ意義
 10) “Interstate Commerce Clause ”と“Marshall Court ”
 11) Nullificationの理論
 12) Secessionの理論と反論
 13) The Confederate States Constitutionによる政体
 14) Unionは脱退可能か?→南北戦争後の司法判断
評価方法  出席および討論への参加・貢献の度合い、それに期末に課すレポートで成績評価を行いたい。
テキスト  特に一冊のテキストは指定しないが、上記の記述から見ても分かるように、種々の原典資料をプリントして配布する。原典は英語ではあるが、アメリカ学会編訳『原典アメリカ史』全7巻(東京:岩波書店、1950〜1982)[以後に新しく2巻付け加わっている]のとりわけ1・2・3巻には、関連原典の解説および日本語訳がまとめられており、重要な参考文献である。
その他