南山大学

 
指定
期間
夏期後半
単位
年次
1・2
担当者
尹 健 次(ユン・コォンチャ)
講義題目 日韓思想の相互交渉
開講キャンパス
授業概要 20世紀以降の世界システムや植民地主義が生み出した東アジアにおける南北朝鮮と日本の三極構造、そしてそれがもたらした在日朝鮮人の歴史的・社会的アイデンティティの分断状況を歴史的・社会科学的・思想的に理解することをめざす。また日本の植民地主義が生み出した歴史的事実の把握をつうじて、天皇制イデオロギーや単一民族国家観、アジア侵略、植民地支配などの意味を自覚し、日本人が在日朝鮮人というマイノリティをどう理解しうるのかを考える。そのさい、日本・韓国の近代思想史とその交錯関係や日本・韓国の歴史と現実に焦点を当てながら、脱植民地主義の思想的可能性を探求する。
学修目標 日本の学校教育では近代日本のアジア侵略、そしてそれがもたらした結果・影響についてはそれほど扱わないことになっている。そのため、日本の中等教育や大学教育を受けた若者は基本的には日本と朝鮮の関係史については没理解のままであるといってよい。講義ではそのことを念頭に何よりも日本・日本人にとって朝鮮・朝鮮人はどんな意味をもつのかを理解できるようにしたい。そのさい同時に、大学院の教育に必要な社会科学的な方法論を身につけられるように努力したい。
授業計画 授業はいくつかの論点を中心にして多方面にわたることになる。
担当教師による講義、受講者の発表、質疑応答、参加者全員による討論など、講義の進め方に多様性をもたせたい。その場合、受講者の予習、準備、そしてレジュメの作成、などの文書起案が重要な作業になる。

講義の論点としてはつぎのようなものが考えられるが、内容、順序などについては受講者と相談する。
朝鮮を学ぶことの意味
日本近代史と朝鮮近代史−植民地主義のあらわれ方
日本と韓国−思想の断絶と交錯
マイノリティとはなにか−民族と国家、そしてアイデンティティ、在日朝鮮人の過去と現在
戦争責任と戦後責任−歴史認識、体験の思想化におけるその意味
1990年代以降における日韓思想の相互交渉
脱近代論と脱植民地主義
評価方法 授業中の質疑応答、討論を重視し、またレポートの提出によって成績評価の参考にする。
テキスト 尹健次『日本国民論』筑摩書房、1997年
尹健次『現代韓国の思想』岩波書店、2000年
尹健次『もっと知ろう朝鮮』岩波ジュニア新書、2001年
その他