南山大学

 

【科目コード】97719

【科目名称】広報・IR

【担当者】広瀬 徹

【単位数】2                    【配当年次】1秋・2    【開講期】秋学期

 

【授業概要】

広告と広報・IRの活動範囲の違い、および広報・IRのそれぞれの領域とその差異を認識した上で、次の観点から授業を構成する。①企業広報セクションの組織と機能、②広報活動の対象と具体的な事例紹介、③ステークホールダーの範囲と有効な広報活動、④対マスコミ広報とリスク・マネジメント、⑤IR活動の範囲と国際比較、⑥IR業務の実際と投資家評価。IPOとそれに付随するIR活動にも言及する。

【到達目標】

   広報・IRを包含するコーポレート・コミュニケーションについて、広告との差異をふまえ、まず概念的な領域を認識させる。特に今日的な広報・IRの意義については、トピックス事象を紹介し、具体的な理解を促進させる。広報・IR業務の実際にも触れる機会をつくり、企業の情報発信・情報公開の必要性に関して理解を深める。またIT技術の進展、WEB文化の浸透を前提に、コーポレート・コミュニケーションに関与できる能力を涵養する。

【授業計画】

1.         広報・PRからコーポレート・コミュニケーション(以下CCと略)への展開

       これまでの政府・自治体・企業による広報・PR活動の概況を俯瞰させ、幅広いCC  へ転換して         いく過程について理解させる。特に企業については、社会的責任とCC・  情報発信との関係を 理解させる。

2.        広報・PRの歴史〈日本・欧米比較考察〉

     広報の発祥からの歴史を辿り、特に日本と欧米における進展経緯について比較考察を進めなが         ら、広報・PR活動の位置づけの相異を理解させる。

3.        CCの事例と分析の視点

     最新の企業広報の事例を数社について紹介し、パターン分類の上、分析の視点を提示し、CCに         関する思考の枠組みを想定させる。

4.        CCの活動領域とステークホールダー

     組織の内外に向けた広報・PR活動の領域・範囲と、関与する個人・集団群を整理し、CCの構造        について理解を深める。

5.        企業広報・PRマネジメント(1)組織体制

     広報・PR活動に関連する企業内ビジネス機能との調整を図りつつ、広報・PR独自の組織・体制        を編成している企業の実態を解説する。

6.        企業広報・PRマネジメント(2)活動内容

     広報・PR活動を対社内・対社外の二つの領域に分類し、それぞれの実際的活動の内容を把握さ         せ、広範囲にわたることを理解させる。

7.        企業広報・PRマネジメント(3)関係形成

     メディアを含む外部諸団体、諸組織との良好なリレーションシップを形成するための活動、およ       びメディア・トレーニングの必要性について解説する。

8.        クライシス・マネジメントと広報・PR

     企業にとって危機となる状況をパターン分類し、それぞれに応じた広報活動を想定する、模擬的       な体験学習とする。

9.        M&Aと広報・PR

     企業買収時における、買収側・被買収側双方での広告対応の実態、敵対的買収あるいは友好的提       携によって異なる広告対応について、実例を紹介する。

10.     IRの概念とIRの歴史

     IRの基礎概念の把握、およびIR進展の背景と歴史的変遷。欧米と日本との比較考察も含める。

11.     IPOの構造とIR

     株式公開に関与する各セクター間の関係を明らかにし、IRへの関与者と関与プロセスのケー  ス・スタディを行なう。

12.     IR活動

     IR活動の範囲と個々の活動を具体的な事例で解説し、広報・PRとは異なる専門性について認識        を深める。

13.     IRとアナリスト機能

     企業とアナリストの情報交換による相互作用、情報開示の考え方とアナリストの役割、フェア・       ディスクロージャー問題に関するアクチュアルな課題を提示する。

14.     IRとコーポレート・ガバナンス

     企業統治の観点から、アカウンタビリティ概念を明確にし、株主・機関投資家・取締役の関係に       おけるIRの意義について理解を深める。

15.     企業価値創造とコーポレート・コミュニケーション

     企業価値評価の方法論を概説し、企業価値創造における広報・PR、IRの役割について総括的な         レヴューを行なう。

 

【評価方法】

レポート       60%   

15回の講義終了後におけるレポート提出

  クラスへの貢献度   20%

    授業中のディスカッションへの参加態度と発言内容

  小レポート      20%

    毎回授業終了時、3分間で記載させる授業集約レポート

【テキスト】

    毎回講義資料を作成・配布する。

 

【参考文献】

猪狩誠也・上野征洋・剣持隆・清水正道・城義紀共著『コーポレート・コミュニケーション戦略』同友館、2004年6月(2刷)

  遠藤彰郎・岡田依里・北川哲雄・田中襄一編著『企業価値向上のためのIR経営戦略』東洋経済新報社、2004年7月

財団法人経済広報センター刊『経済広報』(月刊誌)

  日本広報学会刊行の各種研究レポート、特に『企業統治とコーポレート・コミュニケーション』2004年7月