南山大学

 

【科目コード】97801

【科目名称】アジアにおける人的資源管理

【担当者】KHONDAKER Mizanur Rahman M.

【単位数】2                    【配当年次】1秋・2    【開講期】春学期

 

【授業概要】

アジアの58の国・地域における政治・経済制度、植民地支配の歴史に由来する文化的差異、国家経済における政府および民間部門の役割と慣用、教育・人的資源開発・技術レベルの格差、投資・労働政策・ビジネス経営に関する複雑な法制度、多様な民族慣行などを包含する環境のもとで、国・地域単位で人的資源管理システムを形成し、その姿勢や在り方には共通点と相違点が混在する。こうした背景を念頭におき、本科目は、履修生の状況や興味を検討した上で、南アジア諸国(インド、パキスタン、バングラデシュ)、台湾、韓国の人的資源管理の諸側面を検討することを目的とする。学術研究会報告書、雑誌掲載論文、政府および国際機関による調査資料、特定のケースなどを選び、文献として利用する。一方的レクチャーではなく、個人・集団的討論やディスカッションによって履修生の参加を求め、インタラクティブ型の学習を試みる。

【到達目標】

この講義を通じて、学生は理論的且つ文化的にアジア諸国におけるHRM(人的資源管理)の基礎・実用的特徴及び、人的資源を管理する為のこれらの国々独自の必要条件(概念、構造、戦略)を学び、それを実用的マネージメント活動に当てる。

【授業計画】

1.         オリエンテーション:本コースの目的及び構成、学習方法、リーディングス等

2.-4. ビジネス・マネージメント文化、HRMHD実務についてのアジア経済圏(例:SAARC ASEAN 日本、暫定的な南東部経済、中央・東アジア、中東諸国等)の一般的な見方(chapter 1 及びその他の資料)

5.-11. 国別人的資源管理:

5.         ンドのHRM (chapter 5):社会文化的な成り立ち、HRMにおける国家経済改革、137の大企業によるアンケート調査の結果によるHRMの実態

6.         バングラディッシュのHRM(担当教員の資料):環境的側面、EPZ(緊急時計画区域)企業、銀行、私営・公共部門企業のHRM

7.         パキスタンのHRM (chapter 7)HRMシステムと実務、社会へ及ぼす影響、宗教、MNC(多国籍企業)における国内マネージメント、先進的西洋型方法の採用の傾向

8.         ネパールのHRM (chapter 6):新生HRMシステムのさまざまな要因が及ぼす影響、システムがどのように発展し機能するかについての3つのケーススタディー

9.         中華人民共和国のHRM (chapter 2):特異な形態をもつ自国文化、経済改革と産業組織の変遷、現代のHRMが過去の雇用慣行である「iron rice bowl」(食いはぐれのない職種)をどのようにして徐々に撤廃してきたのかの検討

10.      韓国のHRM (chapter 3)Chaebols(韓国財閥)の雇用関係、アジア通貨危機の余波におけるHRMの調整、韓国におけるHRMの社会的要因の役割

11-12.  日本のHRMとの比較:詳しい資料と日本のHRMについてのOECDレポート

13-15.  要約と結論:HRMに関するアジア諸国各国の問題と課題、国または管理者がなにをどのように

して互いに与え合うことができるのかということの学習、各国におけるHRM情報の交換・FDI(海外直接投資)の地域化又は世界化における影響、前提となる諸国のHRMの運用法(概念、構造、戦略)

 

【評価方法】

出席、クラス参加(ディスカッション、ディベート、小テスト、プレゼンテーション) 40

期末試験(記述・レポート) 60

【テキスト】

1.         Pawan S. Budhwar and Yaw A. Debrah, Human Resources Management in Developing Countries, London: Routledge, 1998 (Note: students must buy this book before the class resumes).

本書によってカバーすることのできない各国の資料は、授業中に配布する。受講生は、各授業時間ごとに、予め割り当てられた本書の章、他の書籍の章ないし論文を読み、内容を報告し、そこで生じた問題を議論し、自らの考えを公に発表する必要がある。

2.         著名な研究者・実務者によって著された学術誌論文、書籍の章。

3.         ビジネス誌の切抜き記事、企業のホームページ・年次報告書、各国および国際的なHRM/HRD 研究機関のウェブ・サイト。

参考文献

1.         Mizanur R. Khondaker, Japanese Style Management for Bangladesh Public Sector, Dhaka: NSU and NFU, 1997.

2.         Min Chen, Asian Management Systems, London: Thomson, 1998 (reprint).

3.         Palgrave, Asian Business & Management, (www.palgrave-journals.com/abm), selected articles.

4.         授業時間中に指示

【備考】

1.         この講義は主に日本語で行われる。受講生はテキストを読み、授業で取り上げられた問題を討論し、その概要を書き、中間及び期末試験の問題に答える事の出来る十分な理解力が必要とされる。

2.         の講義は、主要アジア諸国のHRMの学習を目的とする。ほとんどの場合、内容についての意見交換、各国のシステムの問題・独自性について議論に授業時間の約半分を使用する。指名された学生は授業時間中に報告をし、全ての受講者は前もって資料を読み、授業活動に参加する。

3.         上記について変更がある場合は、授業で連絡する。受講生には、各国のHRMについて各自が持っている知識をクラスで分け合うために、積極的に報告することが奨励される。