南山大学

 

【科目コード】97803

【科目名称】イスラム圏アジア・アセアン諸国の企業経営

【担当者】KHONDAKER Mizanur Rahman M.

【単位数】2      【配当年次】1秋・2    【開講期】秋学期

 

【授業概要】

本科目では、アジア・イスラム圏の国々、中でもアセアン諸国に属しイスラム教徒が全人口の過半数を占める多民族・多宗教国家であるマレーシアとインドネシアを皮切りに、シンガポール、タイ、フィリピンなどの企業経営の特徴を検討する予定である。また、日本をはじめとする諸外国から進出した多国籍企業による現地経営への影響についても探る。講義の進め方として、まずは各国の経営の文化的側面を検討する。次に、特定の経営側面を選択した上で、文献・ケースを利用し、調査・ディスカッション課題を与え、進めていく。履修生が国籍にとらわれることなく、積極的に参加することを期待する。

【到達目標】

この講義を通じて、学生はマネージメント文化をよりよく理解し、その地域マネージメントの競争的(自由競争の)特徴を正確に示すことができるようにする。この地域(イスラム圏アジア・アセアン諸国)の国々のパートナーと独立して又は合弁事業として取引することへのよりよいアプローチ(方法)を練り上げる。

【授業計画】

1.          オリエンテーション:コースの目的及び構成、学習方法、テキスト、補足リーディングスなどの紹介

  23  経済、社会的・民族的ミックス、イスラム圏アジア・アセアン諸国のビジネスマネージメント文化への紹介 Mardock’s Cultural Denominators, Hofstede’s Cultural Dimensions, Min Chen -chapter 2 and 3

4.          アセアンでの競争的な華僑ビジネス戦略(Min Chen, chapter 7):市場シェア獲得のための薄利多売戦略、取引から生産への転換、scale (規模)よりscope(範囲)の経済、政治と政府によるリレーション・カルティベーション戦略、現金なしのビジネス、クイックインクイックアウト戦略、アリババ関係等について学ぶ

5.          インドネシアのビジネスマネージメント:”The Pancacila Way of Managing in Indonesia”, Bob Widyaharatonochapter 8)では、インドネシア・マネージメントの発展の歴史的説明を与え、さらに詳細に、国家マネージメント(ジャワ・モデル)、batakモデル(北スマトラ)、インドネシア系華僑モデルのマネージメントの一般的な特徴、ファミリービジネス・マネージメントから専門マネージメントへの移行、公営企業マネージメントへと進む。授業時間に補助資料も配布する

6.           マレーシアのビジネスマネージメント:”Management Process in Bhumiputra Society”, Gregory Thong Tin Sin (chapter 10) では、植民地以来の異文化が、多民族・多文化ビジネス環境、意思決定システム、マネージメント教育環境にどのような影響を与えたか、実務家マネージャとアカデミックないし専門機関がこのような過程にどのように貢献したかを紹介する。マネージメントシステムに対する”Look East Policy”と日本の多国籍企業の影響にも注目する

7.          フィリピンのビジネスマネージメント:”Management in Pakikisama SocietyPhilippines”, Emanuel V. Soriano (chapter 4)では、フィリピン人の価値観、行動パターン、ビジネス組織、人的資源、職業訓練と教育、経営階層における移動パターン、企業マネージメントの実用面のいくつかを紹介する

8.          シンガポールのビジネスマネージメント:”The Style of Managing in a Multicultural SocietySingapore”, Wong Kwei Cheong (chapter 5)では、シンガポールの発展の歴史的プロセス、日本や米国の多国籍企業がシステムの開発にどのように寄与したかを検証し、シンガポール企業と多国籍企業の経営スタイルを比較し、シンガポール企業の経営スタイルの重要な側面を紹介する

9.          タイのビジネスマネージメント:”Management in a Buddhist SocietyThailand”, Sununta Siengthai and Pckpachong Vadhanasindhu (chapter 13)では、タイにおける民間・公共部門に焦点をおいたマネージメントの見方、職業訓練および教育機関、文化が経営慣行にどのように影響したかを紹介する

10-11.  “Post-Crisis Trends in Asian Management”, Min Chen, Asian Business & Management, 1(1), April 2002では、アジア企業の経営慣行における主な変化について概観する

12-13.  Thakral(インド系ファミリーによって設立されたシンガポール企業)の拡大、成功、及び挑戦の事例

14-15.  まとめ、結論、期末試験方法の発表

 

【評価方法】

出席及び授業参加(レポート提出、ディベート、小テスト、ディスカッション)40%

最終試験(レポート又記述試験)60%

【テキスト】

Joseph M. Putti (ed.), Management—Asian Context, Singapore: McGraw-Hill, (latest edition). (本書は著名な経営学者の論文集であり、それぞれの国での経営実践における文化的な影響に焦点を当てている。受講生は登録際に本書を購入しておくこと。本書で扱われていないトピックスに関する教材は授業中に提供する)

【参考文献】

1.         Terry Morrison, Wayne A. Conaway, and George A. Borden, Kiss, Bow, or Shake Hands, Tokyo: Macmillan, 1999.

2.         Joseph M. Putti and Audrey Chia (eds.), Culture and Management: A Casebook, McGraw-Hill,1991.

3.         Shoichi Yamashita (ed.), Transfer of Japanese Technology and Management to the ASEAN Countries, Tokyo: University of Tokyo Press,1992.

4.         Min Chen, Asian Management Systems, London: Thomson, 1998 (reprint), Ch. 19.

【備考】

* この講義は主に日本語で行われる。学生はテキストを読み、授業で取り上げられた課題について討論を行い、その概要を書き、中間及び期末試験の問題に答える事の出来る十分な理解力が必要とされる。

* ほとんどの場合、取り上げられた最新の課題について十分に討論し、意見を交換する時間を設ける。受講生は各自で関係資料を読み、積極的に授業に参加することをのぞむ。

* 上記について変更がある場合は、授業時間内に連絡する。