南山大学

 

Ⅰ.授業の概要

①講義科目名(単位数)

民法(家族法)(2単位)

②担当者名

伊藤 司

③科目の種類

法律基本科目・民事系

④必須の有無

必修

⑤配当学年・学期

1年(既修者コース:免除)・春学期

⑥授業の概要

いわゆる家族法を対象とし、親族の分野では婚姻、離婚、実子、養子など、相続の分野では、相続人、相続分、相続財産の範囲などに関する相続の基本ルール、遺産分割、遺言、遺留分という、理論的ないし実務的に重要な部分に触れる。

授業の進め方は、必要最低限のレクチャーのほか、受講生との双方向あるいは受講生相互の多方向の質疑応答や議論のやり取りを通じて、知識・理解を確認し深めていく。受講生には、前もって予習すべき内容の範囲内で出題されたいくつかの設問や課題につき必要な調査準備が要請される。

⑦到達目標

法学未修者を対象として、将来の法曹に必要な家族法に関する基本的な事項につき、正確な理解とその定着を促し、問題解決に向けた基礎的能力を向上させることを目的とする。

⑧成績評価の基準と方法

期末試験(レポートを含む)のほか、適宜実施される小テストやレポート、授業時間中の態度の総合評価による。期末試験の比重をおおむね6割程度とする。

⑨教科書

内田貴『民法Ⅳ 親族・相続』(補訂版)(東京大学出版会、2004年)

⑩参考文献・

参考資料

久貴・米倉・水野編『家族法判例百選[第6版]』(有斐閣、2002年)

道垣内・大村著『民法解釈ゼミナール5親族・相続』(有斐閣、1999年)

二宮周平『家族法[第2版]』(新世社、2005年)

松川正毅『民法 親族・相続』(有斐閣、2004年)

⑪履修条件その他の事項

 

 

Ⅱ.授業計画

担当

①テーマ

授業内の学修活動

④授業時間外の学修活動等

②ねらい・内容

③授業方法・工夫

家族・家族と法の総論

家族法における基本的理念の変遷を確認したうえで、民法改正要綱、生殖補助医療技術の発達、婚姻観・親子観の多様化という現代が直面している問題に触れる。

 

テキスト50〜52頁,280〜282項。

民法の一部を改正する法律案要綱(平成8年)

婚姻

婚姻の要件および効力に関する民法のルールを確認し、婚姻意思、夫婦財産関係、761条の日常家事連帯債務と代理権の関係などいくつかの重要な論点に即して、判例学説を解釈論的に検討する。

 

テキスト54〜86頁,19〜54頁

離婚

離婚の成立に関する民法のしくみの説明、および、裁判離婚の離婚原因に関する近時の動きを紹介しつつ、離婚の効果としての財産分与請求、子どもとの面接交渉、子の引渡し請求などをめぐる論点を検討する。

 

テキスト91〜140頁

婚外関係の法的処理

婚約、内縁、事実婚という婚外関係に対する法的対応の現状を確認し、どのように考えるべきかを検討する。

 

テキスト141〜162頁,86〜90頁

親子1

嫡出推定、および、同推定を排除するためのものとして嫡出否認制度をはじめ、「推定の及ばない子」法理について判例学説を確認、検討する。あわせて、非嫡出親子関係を作り出す認知制度さらに人工生殖の問題を考える。普通養子および特別養子について、民法のルールを確認する。

 

テキスト163〜208頁

親子2

同上

 

同上

親権、後見・保佐・補助、扶養

 

未成熟子に対する親権、いわゆる成年後見制度の概要を確認し、夫婦、親子をはじめとする親族間扶養をめぐる問題点を検討する。

 

テキスト209〜246頁,283〜302頁

相続の基本概念1(相続人の範囲、順位、相続分)

相続の基本ルールとしの相続人の範囲、順位、相続分につき確認するとともに、相続欠格、相続人の廃除につき判例学説を検討する。

 

テキスト329〜355頁,373〜390頁

相続の基本概念2(相続財産)

相続の対象となる財産の範囲につき、確認する。

 

 

テキスト355〜372頁

10

共同相続・遺産分割

共同相続の場合の遺産共有をめぐる法律関係、その解消手続きとしての遺産分割について判例学説を検討する。

 

テキスト391〜431頁

11

同上

同上

 

同上

12

相続権の侵害、相続財産の清算

相続権が侵害された場合の相続回復請求権をめぐる諸問題、および、限定承認、財産分離、相続人不存在の手続について確認する。

 

テキスト432〜458頁

13

遺言

自筆証書・公正証書・秘密証書という三つの普通方式の遺言を中心に遺言の方式、および、遺言の撤回について確認する。

 

テキスト459〜475頁

14

遺贈、遺言の執行

包括遺贈、特定遺贈およびそれらの効力について確認するとともに、遺言の執行に関し、遺言執行者の権限等に触れる。

 

テキスト476〜501頁

15

遺留分

遺留分制度の趣旨、遺留分侵害に対する救済制度としての減殺請求権に関して、さまざまな問題につき判例学説を確認する。

 

テキスト502〜528頁