南山大学

 
指定
期間
夏期前半
単位
年次
2〜4
担当者
河野 哲也
他の科目との関連
他学科履修
副題 「心の哲学」から「環境のオントロジー」へ
授業概要 「心の哲学」は、「生態学的環境のオントロジー(存在論)」へと発展しつつある。環境の存在論とは何か。なぜ、「心」の問題が「環境」を問う形に変化していくのか。心の哲学の最新のトピックについて議論しながら、J.J.ギブソンの生態学的心理学に基づいた心の哲学の立場から環境の存在論が生まれてくる過程を説明する。また、生態学的哲学の観点から近年議論の的となっている「拡張した心」「自由意志」「クオリア」について論じる。最後に、知覚が外界からの因果ではなく、知覚とは生物と環境とが情報に基づいたシステムを構成する過程であること、知覚情報はそのための形相因となることを指摘する。方法としては、一方的な講義ではなく、質疑応答やディスカッションを重んじた授業にする。
学修目標 ・心の哲学の最新の議論に触れ、新しい心の概念や理論が心理学や認知科学、脳科学、ロボティクスなどの心の諸科学にどのようなインパクトを持つか、さらに教育学や倫理学にどのような視野をもたらすかを理解する。
授業計画 1.ガイダンス(講義内容、方法、評価方法)、イントロダクション
2.ギブソンの心理学と心の哲学:直接知覚論とアフォーダンス
3.拡張した心の概念:心は身体と環境に拡がっている
4.環境のオントロジー(1):生態学的環境の実在論
5.環境のオントロジー(2):出来事の存在論へ
6.環境のオントロジー(3):下方因果と人工物の実在論
7.自由意志はありうるのか(1):リベットの実験と自由意志
8.自由意識はありうるのか(2):自由意志の擁護
9.クオリアの問題(1):クオリアとは何か
10.クオリアの問題(2):クオリアは対象の性質である。
11.知覚とは何か(1):知覚の因果説の問題
12.知覚とは何か(2):情報の存在論
13.知覚とは何か(3):知覚と生態学的環境の誕生
14.まとめ
評価方法  平常点(出席・ディスカッションへの参加)が40%、テストが60%
テキスト 河野哲也・染谷昌義・齋藤暢人『環境のオントロジー』(春秋社)

【その他】河野哲也『エコロジカルな心の哲学』(勁草書房)
河野哲也『環境に拡がる心』(勁草書房)
その他