南山大学

 
指定
期間
通年+夏期後半
単位
年次
2〜4
担当者
後藤 明
他の科目との関連 初登録の学生はI1に登録すること
他学科履修 不可
副題 文化資源論的なフィールドワーク
授業概要  本フィールドワークは物質文化やモノ作りを中心として文化資源論的な調査を行うことを目的とする。
 具体的には国営沖縄海洋博公園にある博物館、海洋文化館の展示再構成に参加しながら、実地に民族資料を分析し、将来的に理想的な展示のあり方を考えることである。その展示案は単に博物館内で自己完結してはならない。そうならないための課題は:
 (1)園内にある他の施設、とくにプラネタリウム、美ら海水族館、沖縄郷土村、植物園などと有機的に連関するものでなくてはならない。
 (2)「沖縄に存在する南島(オーストロネシア)語系文化の展示」ということで地元沖縄の文化とどのように連動させるべきか考えなくてはならない。具体的には本部町、今帰仁村、名護市など周辺市町村の博物館や生活文化のサイクル、あるいは祭礼などと有機的に連動しなくてはならない。
 (3)民族資料を中心に展示する国内の施設、たとえば国立民族学博物館やリトルワールドあるいは新設された沖縄県立博物館との差異化と共同化の方策を考える必要もある。
学修目標  このような問題意識をもって学生達と理想の博物館作りについて考え、実際に関係業者などとの共同作業に参加することをフィールドワークの主眼としたい。参加の前提として学生は1975年当時行われた海洋博覧会の背景、具体的には沖縄返還、日本や世界における万国博覧会の開催という時代的脈絡、「海」や「世界の民族」についての興味の高揚、等について知識を得ておく必要がある。
授業計画  春学期前半には民族映像ビデオや写真あるいは実際の民具資料を見て、グループごとに内容を討論、さらに発表と質疑応答を行う。
 夏休み(9月)に1週間程度沖縄の本部町にある海洋博公園および周辺にてフィールドワークを行う。
 現地ではまず海洋博公園内にあるオセアニアの民具資料の精査、とくに計測、写真撮影、劣化状況の確認などの項目についてデータベース化の作業を行う。
 また公園内の諸施設、水族館、郷土村、植物園などを実見し、博物館との連動を考える。さらに近隣の文化施設(世界遺産今帰仁城、名護郷土資料館など)に赴き、地域(本部半島)全体としてのあるべき文化資源化について実地で観察や討論を行う。
 秋学期には学期末に作成するレポートの下準備として、実見した資料に関する展示説明(例 音声ガイド)、あるいは博物館内ガイドツアーの試作、イベントや企画展などの立案などについて考えていきたい。
 冬休みないし春休み時期に補足的なフィールドトリップを考えている。可能性としては(1)博物館で展示されている民具(例 カヌー、機織り機、漁具)が実際にどう使われているか、あるいはどのように作られているかを奄美、沖縄あるいは小笠原や八丈島の村落で調査する。
評価方法  出席点やゼミに臨む態度(30%)、口頭発表やレポート内容(70%)
テキスト プリントを適宜配布。
その他 フィールドワークには経験上10万円程度の旅費が必要となる。また交通不便の地で行動するためレンタカーを借りる予定だがその費用も共同で出費(2千円から3千円程度)する必要があることを念頭に置いて受講してもらいたい。