南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
3・4
担当者
大塚 達朗
他の科目との関連
他学科履修
副題  縄紋文化の見直し
授業概要  縄紋文化は、日本列島内で独特・固有な変遷を示す縄紋土器を育んだ文化という了解に加えて、農耕に依存しないが高度な定住性を示す狩猟民による特異な文化と理解されるようになった。列島外の諸先史文化とは没交渉で列島内に高度で特異な内容の単一・等質な新石器文化であることが強調されてきた。はたして、縄紋文化は単一で固有な文化といいきれるのか、むしろ複雑な由来の多文化的複合の可能性があることを講義する。
学修目標  縄紋文化は日本文化の基層文化であるという意見が誤りであり、正しくは、北東アジア先史世界の変化から出現してくる狩猟採集漁労撈文化で、決して単一・一様なものではないことを修得する。
授業計画 (1).なぜ縄紋文化を見直す必要があるのか(講議全体のガイダンス)
(2).縄紋文化の定義(縄紋土器によって定義される縄文土器文化)
(3).縄紋文化論の系譜(日本文化論と北方文化論と南島文化論)
(4).短期編年と長期編年との年代観の違い(交差編年と炭素年代法)
(5).縄紋文化の起源論の問題点(サケ・マス論)
(6).更新世の土器と狩猟採集民(遊動から定住へ)
(7).定住社会論1(5−10キロモデルとコレクターモデル)
(8).定住社会論2(遺跡数と人口)
(9).定住社会論3(越冬と生業)
(10).縄紋土器の今日的評価1(土器製作のメカニズム)
⑪.縄紋土器の今日的評価2(土器型式論と階層化社会)
⑫.北東アジア先史社会からの視点(環日本海狩猟採集民の世界)
⑬.縄紋文化の再構築(階層化された狩猟採集民の社会)
⑭.縄紋文化研究の今後の課題
⑮.期末試験(筆記試験)
 受講生に、縄紋文化の見直しに興味を抱いてもらいたいことと縄紋土器に親しみをもってもらいたいことのために、縄紋文化のコレクションで著名な人類学博物館の、その縄紋土器展示物を検討することも授業に組み込まれているので、受講生は真摯な態度で参加することが求められている。
評価方法  出席状況10%、小レポート40%、期末試験50%により評価する。
テキスト  必要に応じて配布する。
その他