南山大学

 
指定
期間
夏期後半
単位
年次
2〜4
担当者
池田 忍
他の科目との関連
他学科履修
副題 「歴史」の構築と視覚文化
授業概要 イメージ(視覚表象/美術)の歴史に関心をもつ受講生を対象に、個人や共同体の歴史的記憶や経験が、イメージを通じて構築される過程を受講者と共に考察する。具体的には、(1)身体 (2)伝統 (3)戦争の記憶 という三つのキーワードとかかわる表現を、日本美術を中心とした多用な視覚媒体の中に探ってみよう。この三つのキーワードは、私たちが自らを過去に規定される存在として理解しようとする際に焦点化され、人々の間に溝や対立を生む要因ともなってきた事柄である。
学修目標 イメージ(視覚表象/美術)が創造・享受(展示)される「場」の歴史的文脈や政治性についての理解を深め、作品が伝える価値観やイデオロギーについて考察する。また、分析や解釈の拠り所となるイメージ研究の方法について学ぶ。特に図像学、図像解釈学、およびジェンダー批評、ポストコロニアル批評の方法と理論を重視する。
授業計画 I.身体と表象
1.視覚イメージを通じて「歴史」を考えることは可能か?(イントロダクション)
2.古代・中世の絵画にみる「やまと(日本)」と「唐(中国)」のイメージ
3.病む身体と「死」への眼差し
4.戦国〜近世の美術に描かれた「異域」と「異人」のイメージ
5.民族服を身にまとう女性像 —近代日本の人種と民族をめぐる葛藤  
II.「伝統」と表象
6.武士の時代(中世日本)の『源氏物語』と「源氏絵」 
7.近世〜近代における宮廷(王朝文化)のイメージとその機能
8.近代美術の中の性差と民族主義言説 (1) 土地への眼差しと風景の「発見」
9.近代美術の中の性差と民族主義言説 (2) 「伝統工芸」「民芸」「手芸」をめぐって
III.戦争の記憶と表象
10.合戦絵と武士像の創出
11.近代日本の視覚文化における「武士」のイメージ
12.「作戦記録画」と戦争記念碑 
13.戦場を描いた画家たちと描かれた「従軍慰安婦」
13.視覚イメージによって構築される「歴史」とどのように向き合うか (終わりに)
評価方法 講義への積極的参加 講義に対するコメント・感想の提出(30%)
レポート(70%)。
テキスト プリントを配布します。参考文献については、講義中に適宜、紹介します。
その他