南山大学

 
指定
期間
春学期
秋学期
単位
年次
3
担当者
COURRON David
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題 フランス第五共和国憲法の50周年をめぐって
授業概要
学修目標
授業計画  1958年10月4日に公布されたフランス憲法は50周年を迎えました。フランスの憲法史の中でひとつの憲法がこのように長くつづいたことはまれで注目すべきことがらですが、これはド・ゴール将軍が提案し、フランス国民が国民投票で承認したこの憲法のテクストそのものの結果であろうと考えられます。実際、1791年以来、フランスにおいて政権がこのように安定したことは初めてです。現行憲法はさまざまな状況に適応する能力を発揮しているのです。
 しかしこの半世紀のあいだでも憲法のテクストとその適用にかんして定期的に論争が起こっています。確かに、初期の論争の激しさは徐々に緩和されてきました。しかし憲法制定以来、考察・分析作業は間断なくおこなわれ、さまざまな問題点が50年におよぶ実践のなかで解明されつつあります。
 1958年の憲法はさまざまな政治的傾向をもった政治家によって支持されてきたのですが、それによって定期的に近代化され、市民のあたらしい期待に答え、フランス社会のあらたな展開に応じています。現行憲法がさまざまな困難な障害を克服し、ポストモダンの社会の期待にこたえる力をもっていることはもはや証明するまでもありません。ひとびとは社会生活のあらゆる領域において最大限の自由を要求するようになると同時に、社会による保護をうけたいという欲求も常に増大しています。憲法は国民のこうしたふたつの要求を調和させるという責務をもっていました。2008年7月21日、両院総会で第五共和制の諸制度を近代化するための憲法改正案が採択されましたが、これもまたそうした国民の期待にこたえようとする努力の一例です。
 このゼミでは2008年の改正がどのような制度上の重大な改革をもたらしたかを検討しながら、諸君とともに、この改正の意味を解明し、それについて考察をくわえていきます。

春学期:
    (1)   憲法の創生期
    (2)〜(3) 統一、主権、平等:大きく修正された原則
    (4)〜(5) 地方分権化された共和国
    (6)〜(7) 政党の報復
    (8)〜(9) 統治する大統領
    (10)〜⑪ 単なる執行機関としての政府?
    ⑫   従う行政機関?
    ⑬〜⑭ 合理化された議会主義制度の行方は?

秋学期:
    (1)〜(2) 神聖化をやめた法
    (3)〜(4) 三権の無責任
    (5)〜(6) 統治者の刑事責任
    (7)〜(8) 権利と自由のよりよい保証
    (9)〜(10) 正義、裁判官と権力
    ⑪   諮問機関の有用性
    ⑫   感知しにくい市民の姿
    ⑬   実施されていない憲法の規定
    ⑭   第五共和国の将来は?
評価方法 単位取得は論文と出席状況により決定するが、学生の積極的参加(各自の研究の進行状況に関する発表で評価)も考慮する。
テキスト プリント配布
その他 (参考文献)
1.Debbasch Charles, Pontier Jean-Marie, Introduction la politique, 5塾e 仕ition, Paris, Dalloz, 2000.
2.Chevallier Jean-Jacques, Carcassonne Guy, Duhamel Olivier, La V士e R姿ublique 1958-2002, 10塾e 仕ition, Paris, Armand Colin, 2002.
3.Carcassonne Guy, La Constitution introduite et comment仔 (de la V塾e R姿ublique), 7塾e 仕ition, Paris, Le Seuil Points-Essais, 2005.
4.Ch液elet Fran腔is, Duhamel Olivier, Pisier プelyne, Dictionnaire des oeuvres politiques, 1俊e 仕ition, Paris, PUF-Quadrige, collection R伺屍ence, 2001.
5.Lavroff Dmitri Georges, Les grandes 師apes de la pens仔 politique, Paris, Dalloz, 1993.
6.滝沢正著『フランス法』第2版、三省堂、2002年
7.斎藤貴男著『安心のファシズム−支配されたがる人びと−』岩波新書(新赤版)897、2004年