南山大学

 
指定
期間
通年
単位
年次
3・4
担当者
中谷 実
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題 司法消極主義の現実と改革の処方箋
授業概要 日本国憲法は、戦後、アメリカの大きな影響の下、司法制度を変革し、司法権は従来からの民事・刑事事件の他に、行政事件を射程におさめるとともに、憲法81条は、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が法律に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と規定し、違憲審査制を備えるに至っています。この違憲審査制の性格につき、当初、そして、その後も、学説上、司法裁判所型の付随的審査制であるか、それとも抽象的審査制を内包させる憲法裁判所型であるかが争われてきましたが、昭和27年の警察予備隊違憲訴訟を経て、アメリカ型付随的審査制として定着し、半世紀の間に、多数の憲法判例が生み出されています。しかし、最高裁による違憲判断が少なく、違憲審査が十分に機能していないのではないかということから、司法消極主義というラベルが貼られ続けてきており、1995年には、もと最高裁裁判官の伊藤正己氏によって、憲法裁判所の導入が提言されています。ごく最近、若干の積極主義といえる判決も出され、変化は見られるものの、総じて司法消極主義という評価は変わりません。本授業の最終目標は、司法消極主義をどのように修正していくかというところにありますが、何よりも、基本判例の学習を通じて、まず憲法訴訟の現実を知ることが大切とおもわれます。ゼミの進め方は、通常のゼミと同じく、毎回のテーマにそって、報告者はレジメを作って報告し、議論します。テキストは、必須。
学修目標 司法消極主義の現実(基本判例の学習を通じて、まず憲法訴訟の現実を知る)とその処方箋
授業計画 (1)春学期
 【1】 授業の進め方
 【2】 違憲立法審査権の性格 1
 【3】 平和主義 3、4、5
 【4】 外国人の人権(1)6
 【5】 外国人の人権(2)6
 【6】 人権の主体と妥当範囲(1)7、8
 【7】 人権の主体と妥当範囲(2)9
 【8】 予備
 【9】 10 憲法の人権規定の私人間における効力 10
 【10】 11 プライバシーの権利 11
 【11】 法の下の平等(1)12
 【12】 法の下の平等(2)13
 【13】 政教分離の原則 15
 【14】 春学期のまとめ
(2)秋学期
 【1】 表現の自由(1)17 集会の自由
 【2】 表現の自由(2)18 わいせつ文書と表現の自由
 【3】 表現の自由(3)19 輸入書籍等の税関検査と検閲の禁止
 【4】 表現の自由(4)20 名誉殿損と表現の事前差止め
 【5】 表現の自由(5)21 報道の自由と知る権利
 【6】 経済的自由(1)27 職業選択の自由の規制
 【7】 経済的自由(2)28 財産権の保障
 【8】 予備
 【9】 社会権(1)25 生存権の保障
 【10】 社会権(2)23 学力テストと教育権
 【11】 社会権(3)24 教科書検定
 【12】 29 刑罰法規の明確性と広汎性
 【13】 30 行政処分と適性手続
 【14】 増補4 立法不作為と国家賠償責任
     数字は、テキストの判例番号
評価方法 出席が60%、レポートが40%、欠席の多い場合、単位は出ません。
テキスト 中村睦男 教材憲法判例 北海大学出版会(2008)3000円
その他