南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
3・4
担当者
久世 表士
他の科目との関連 民法(担保物権法、債権総論)、民事訴訟法
他学科履修
副題
授業概要 民事執行手続は、権利実現の手続です。金銭に支払いや建物の明渡しについて勝訴判決を取得しても、訴訟で敗訴した被告が、任意に金銭の支払いや建物の明渡しをしない場合に、権利の強制的実現手段がなければ、その権利は絵に描いた餅にすぎません。また、不動産に抵当権などの担保権が設定されていても、それだけでは抵当権が把握した不動産の交換価値の実現はできません。そこで、国家権力を背景とした権利実現の手続としての民事執行手続が必要となる訳です。しかし、民事執行手続が完備していても、判決手続によって権利が確定するまでの間に、相手方の財産状態あるいは権利関係に変化が生じてしまうおそれがあります。そうなると、権利者がせっかく勝訴判決を取得したとしても権利実現が出来なくなってしまいます。そこで、このような事態を防止するために、暫定的に権利を確定したり、一定の法律的に地位を認める手続が必要となります。この手続が民事保全手続です。本講義ではこの二つの手続について、実務における現場の具体例を示しながら講義します。
学修目標 受講者は、民法等の講義で、私法上の権利としてどのような権利があり、どのような内容の権利であるかについて学んでいると思います。しかし、私法上の権利が義務者によって任意に履行されない場合に、どのような方法で権利を実現するのかについては、具体的にイメージがわかないのではないかと思います。講義ではその具体的なイメージ作りをすることを目標とします。
授業計画 1.民事執行・民事保全の全体像について学びます。
2.民事執行の申立から終了までの流れを学びます。
3.民事執行を受けた債務者の救済手続について学びます。
4.不動産に対する民事執行(強制競売)について学びます。
5.不動産に対する民事執行(担保権実行としての競売)について学びます。
6.不動産に対する民事執行(強制管理・不動産担保収益執行)について学びます。
7.動産・債権等に対する民事執行について学びます。
8.代替執行・間接強制・意思表示義務の執行について学びます。
9.不動産・動産の引渡執行について学びます。
10.民事保全手続の基本構造について学びます。
11.仮差押手続について学びます。
12.処分禁止の仮処分について学びます。
13.占有移転禁止の仮処分について学びます。
14.仮の地位を定める仮処分について学びます。
評価方法 期末試験として筆記試験を行う。
テキスト 上原敏夫・長谷川由起子・山本和彦著「民事執行・保全法[第2版]」有斐閣2006年
その他 事前にレジュメを配布します。必ず六法を持参すること。