南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
4
担当者
高橋 広次
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題 正義とは何か
授業概要 かつて、正義論は法哲学的議論の場から放逐されたが、現代、それは伝統的自然法論からリベラリズムの場に移されて議論が復活し継続されている。しかし、それに対しても強力な反対論があちこちから上がっている。本授業は、現代正義論の中でも重要な諸論文を取り上げ輪読しながら、正義価値に対する懐疑的な批判論とそれに対抗する肯定論を比較検討し、法が定位する「正義」の性格を浮き彫りにする。
学修目標 正義を考えることは単純ではない。なぜなら、究極の価値選択において何が正しいかを学問的に決定できるかという問題は依然残るし、もしそれは各人の主観的な感情でしかないといえば、これまた自然的に肯定しかねる面があるからである。しかし、正義の一義的決定に固執するあまり、その実現のために自死を敢行したり、また社会的に盲目的な破壊行為を正当化しかねないこともある。例えば、個人の自由の追求と、社会的かつ経済的安定の追求とは一見調和しそうであるが、究極的には相容れない対立性を抱えており、そこから様々な紛争が起こっている。対立する諸価値の序列をどう考えるか、法問題に即して、自然認識と異なる価値認識の客観性を求め、その特殊性を理解することに努める。
授業計画 1.本演習の目的の説明と授業の進め方の決定
2〜4.ハンス・ケルゼン『正義とは何か』からの抜粋の輪読。
5〜7.ハンス・ケルゼン『科学の法廷における自然法論』の輪読。
8〜10.現代リベラリズムによる功利主義批判に関する主要論文の輪読。
11〜12.リベラリズム批判に関する主要論文の輪読。
13〜14.現代自然法論の可能性をめぐる主要論文の輪読。
評価方法 レポートが70%、毎回の授業出席が30%
テキスト 該当論文の抜き刷りを配付。
その他 特になし