南山大学

 
指定
選必
期間
秋学期
単位
年次
1・2
担当者
吉田 竹也
講義題目
開講キャンパス
授業概要  現在の文化人類学は、かつての「未開」社会の研究から同時代の「グローカルな」社会の研究へとその学問的性格づけを変えたが、それに即したかたちで理論や方法を十分再整備するまでには至っていない。講義では、人類学とその周辺領域の理論・方法・認識に関する重要な論考を精読し、これについて討議する作業を通じて、こうした人類学のパラダイム転換を振り返りつつ、今日的な人類学の思考スタイルのあり方について省察する視線を養う。
学修目標  文化人類学とその周辺領域における重要な研究成果について整理し、文化人類学という学問の性格を歴史的な脈絡において理解する視線を養う。いくつかのポイントにとくに焦点をあてる議論と俯瞰的な議論とを組み合わせて、受講生が「文化人類学」という学問について(将来的に)教授しうるような認識と知識を自ら確立し更新していけるようにする。
授業計画  講義では、次のような項目について議論したいと考えている。もっとも、これらすべてを消化することを目標とはしない。それぞれの項目において押さえておくべき点、ディスカッションを要する点はかなりあるので、ある項目やそこでのポイントにとくに焦点を当てて、時間をかけて議論する必要があるし、べつの部分はそれにともなって省略せざるをえない。またここに記したもの以外の項目を、議論の俎上にのせる可能性もある。受講者の関心や研究領域との関連で、柔軟に授業を運営することを心がけたいと考える。また、大学院レベルの学習においては、主要な人類学者や社会学者の著作を(原著、あるいは日本語もしくは英語で)丹念に読むという作業が重要だと考えるので、できるだけその種の精読の機会を組み込みつつ、一定の項目やポイントについて理解をはかっていきたい。なお、講義は受講生がレジュメ(あるいは原稿)を用意し、これについて討議するという形式で進めたい。

1.序論 未開社会からグローカルな社会の研究へ
2.「未開」研究の確立(レヴィ=ブリュール、マリノフスキー、ラドクリフ=ブラウン、E—P)
3.実証主義と主意主義(デュルケーム、マックス=ウェーバー、シュッツ、パーソンズ)
4.近代の否定と弁証法(マルクス、アドルノ、ベンヤミン)
5.文化と文明の総合人類学(ボアズ、ミード、クローバー、クラックホーン)
6.「未開」研究の再強化(レヴィ=ストロース、サルトル、ドゥルーズ)
7.構造主義の行方(オランダ構造主義、ニーダム)
8.構造と歴史(アナール学派、歴史人類学)
9.西欧近代の相対化(文化相対主義と反相対主義、サイード)
10.人類学の相対化(クリフォード、ポストモダン人類学、カルチュラル=スタディーズ)
11.役に立つ?人類学(開発人類学、医療人類学、観光人類学)
12.オート=ポイエーシスの社会学(ルーマン)
13.再帰的近代の社会学(ギデンズ)
14.ポスト=ポストモダン社会の人類学
15.学習内容の総括
評価方法 出欠、授業での発表、討議への参加、試験代わりのレポートを総合的に評価する。評価の割合は、履修者の人数にもよるが、出席を3割、発表・討議を3割、レポートを4割とする予定である。
テキスト
その他