南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
1・2
担当者
松戸 庸子
講義題目 信訪制度の社会学的考察
開講キャンパス
授業概要 中国の建国以降の半世紀は、前半の計画経済時代と、80年代以降の市場経済導入時代とに区分できる。それぞれの時代の社会運営原理でもあった「計画・統制」と「市場・自己決定」とが、社会レベルでどのような仕組みを持ちいかなる機能を果たしたかを、制度、組織、意識や行動の中に探っていく。具体的な制度として信訪制度を取り上げる。信訪制度の変遷、条例(事実上の法律)の改正と運用実態の分析を通じて、現代中国社会の構造変動を、マクロ・ミクロの両次元から観察する。
学修目標  各人の母国語でない言語(中国語或いは英語)による中国研究論文を読む力を身につける。
同時に中国社会研究に関して構造的・理論的に理解するための基礎的力を養成する。
授業計画 「計画から市場へ」というパースペクティヴから、中国社会のマクロな構造変動特性の理解のために、具体的な集団・組織や社会制度を考察する。そのために、個々の制度の概要、関連政策・法律制定の背後にある思想や国民の意識、制度の変容、制度が果たした社会的な機能や問題点を分析するが、以下のテーマに焦点を合わせて演習形式で授業を進めていく。

1.  ガイダンス
2〜4.信訪制度前史と解放以降の制度の変遷
5〜7.信訪行動の実態
8〜10.信訪条例の改正と改正論争
11〜13.司法救済と信訪救済
14〜15.総括と試験
評価方法 平常点(40%)とレポート評価(60%)
テキスト (1)Jonathan K. Ocko, I’ll Take It All the Way to Beijing : Capital Appeals in the Qing, The Jaurnal of Asian Studies 47, May 1988.
(2)干建、応星、杜斌らの信訪関係の論文(中国語)。
(3)孫立平『断裂:20世紀90年代以来的中国社会』社会科学文献出版社、2003年.
その他 中国語及び英語で書かれた文献や・資料を多用する。輪読や討論の回数が多い。