南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
1〜
担当者
櫻井 健吾
講義題目 産業社会の倫理
開講キャンパス
授業概要 1750年以降のヨーロッパで始まった産業革命(産業化)は、今日の豊かな社会の起源である。しかし、産業化が始まり進展していた19世紀には、職人や労働者の窮乏化と社会の大混乱が問題となった。この社会問題と呼ばれる難題に正面から取り組んだキリスト教思想家ケテラー(1811−1877年)は、自由主義や社会主義と対決しながら、キリスト教の立場から独自の思想を展開し、それは現代ヨーロッパ世界に大きな影響を与えている。例えば、現代の社会保障にも、社会国家の成立にも、現代のヨーロッパ連合(EU)の補完性原理にも、ケテラーの影響ははっきり認識できる。このケテラーの思想を学び、検討する。
学修目標 以下のことを学修目標に掲げる。
1.産業革命の弊害面としての19世紀の社会問題を正確に認識すること
2.それに対処する運動を興した自由主義、社会主義、キリスト教の立場を明確に区別し把握すること
3.キリスト教の立場から対処したケテラーの思想と行動を捉えること
4.そのケテラーの思想が現代にどのように生きているか、把握すること
5.それによって、歴史的な研究が現代の理解にいかに必要か認識すること
授業計画 以下のような内容を講義していくことを予定している。
1.人類史のなかの産業革命
2.産業革命の随伴現象としての社会問題
3.キリスト教社会運動と社会理念
4.ケテラーの思想と行動
5.自由主義との対決
6.ラサール社会主義との対決
7.マルクス社会主義との対決
8.キリスト教の社会改革案(1)(2)(3)
9.キリスト教所有権思想
10.キリスト教労働組合
11.コルピング職人組合
12.ケテラーの自由論
評価方法 レポート(100%)で評価する。
テキスト 1.桜井健吾「補完性原理の萌芽:ケテラーとテューリンゲンの論争(1848年)」水波朗・稲垣良典・阿南
  成一編『自然法と宗教I』創文社、1998年所収。
2.ケテラー『労働者問題とキリスト教』晃洋書房、2004年。
3.ケテラー『自由主義、社会主義、キリスト教』晃洋書房、2006年。
その他