【科目コード】97803
【科目名称】イスラム圏アジア・アセアン諸国の企業経営
【担当者】竹野 忠弘
【単位数】2 【配当年次】1秋・2 【開講期】秋学期
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【授業概要】
イスラム圏アジア・アセアン諸国における企業経営戦略について、「同諸国」経営を集約的に表現しているマレーシアを軸に講義する。すなわち、マレーシアにおける企業経営を素材に、(1)同国の経営環境、(2)現地企業活動の動向、(3)日系進出企業の活動について、英文配布資料から理解し、最後に(4)マレーシア企業との連携事業戦略プロジェクトを受講者で起案・演習する。
講義形式は、配布講義資料(英文)の受講者各自での読み取りを前提に、受講者全員参加によるグループワーク「演習」形式で学んでいく。 (1)まずFar Eastern Economic Review, Journal of Contemporary Asia, Asian
Survey,等の雑誌記事や論文、その他専門研究文献からの配布資料を、「key words=課題」を付して配布する。(2)受講者は、各自で配布資料を読み、「key
words=課題」の内容を読み取る。(3)次いで、各自で読み取った結果を20〜30枚のカード(1枚1項目)に書き出して持ちより、(4)同カードを使ったグループワークによって、英文の内容の理解を深める。さらに(5)講師が内容を補足解説し、テーマについての体系立った理解を促す。
「アジア・アセアン諸国」は、地理的にIndo-china地域に位置し、イスラムの文明および文化習俗を含む、多文明社会・多文化社会である。さらに、植民地経済による欧米近代化と資源輸出国化、米系・日系企業の海外直接投資と対米・対日輸出主導工業化、アジア通貨危機による経済かく乱と日系企業活動との連携による回復、という歴史を共有する。
マレーシアは、こうした要素を全てもち、かつ多文化融合・文化的寛容という「イスラム圏」の特徴を持つ諸国のひとつである。すなわち、イスラムの制度や文化を主要としながらも、マレー系現地民・華人系・インド系・少数民族からなる、いずれもが過半占めない、多文化共存社会である。また、英連邦諸国の一員でもあり、イスラム圏ならびに英連邦諸国圏という2つのサブ・グローバル経済圏に属する。加えて、技術者人材育成においては、英連邦のサブ・グローバル職業資格制度を採用する一方で、日系企業の企業内人材育成制度と国内職業教育制度や公的人材育成との連携を図っている。さらに、資源系の第1次産業から、2次産業の製造業、さらには情報通信関連の第3次産業にわたる広範は産業・企業群をもつ。1次産業は、スズや銅などの鉱物系、天然ガスや石油などの燃料系、天然ゴムや砂糖きびなどの農産物系にわたる。第2次産業の製造業も、家電・自動車から半導体製造まで多面である。
以上を踏まえて、イスラム圏アジア・アセアン諸国の代表例としてのマレーシアについて、その現地企業と日系製造業企業との新たな事業連携プロジェクトについて、受講者全体で練り上げていきたい。
【到達目標】
欧米型市場経済によるグローバル経済分析およびそれに基づく「企業経営」観を、絶対しせずに数ある解釈のひとつとして相対化し、物事の多面性を受け入れ、それとの融合・連携を図る知力を培うことが、本講義の到達目標である。
【授業計画】
1.
イントロダクション:「イスラム圏アジア・アセアン諸国の企業経営」研究の進め方
○「アジア・アセアン諸国」の経営環境:地域の歴史
2.
Indo-china: 多文明的制度的基層と多元的食文化
3.
Strategic Point: 通商(交易・金融決済)の要衝、Pilate of the strait of Malacca
4.
Plantation: 植民地経済開発、欧州近代文明と土地の改造
5.
Export-oriented Industrialization: 域内競争とグローバル競合
6.
The Asian Miracle(World Bank): Bubble
Economic Growth and Hedge-Fund
7.
Asian Financial Crisis and After: 日系企業との連携と成長回復
○イスラム圏・マレーシアにおける企業経営:イスラム・英国・日本と現地企業活動
8.
Tin & Copper, Sugar & Rubber, Oil & Gas:植民地経済と国内資源企業
9.
Islam Culture: 人事労務管理の特性(信条・慣習・タブー・寛容)と日系企業
10.
Islam Banking: 利子の概念、雇用者国民年金基金制度、主要銀行の経営動向
11.
Proton & After : Industrial Nationalism and Regional Management Strategy
12.
Multimedia Supper Corridor: グローバルIT拠点育成政策の現状
○日本製造業企業の対マレーシア現地企業連携事業戦略プラン演習
13. 日マ連携事業戦略プランの起案と課題:プラン・レポートの提出
14. プランの修正・再検討
15.
日マ連携事業戦略プランの提起:プラン・レポートの受理
【評価方法】
①文献の読書、②グループワークへの参加・貢献、③④プラン・レポートの提出と受理を、いずれも単位修得の必要条件とする。いずれかひとつでも欠く場合は、単位認定をしない。4項目すべてを満たした受講者について、同じウエイトで成績評価を行う。
【テキスト】
基本的に配布英文資料を使う。なお、人数が多い場合等は、開講時にテキストを指示することもある。
【参考文献】
講義の中で適宜紹介する。
【備考】
英文資料の読み取りを中心に講義を行うので、応分の英語の読解力ならびに日本語での表現能力を必要とする。