Ⅰ.授業の概要
①講義科目名(単位数) |
法情報調査 (2単位) |
②担当者名 |
伊藤 司 |
③科目の種類 |
実務基礎科目 |
④必須の有無 |
選択 |
⑤配当学年・学期 |
1年(既修者コース:1年)・春学期 |
||
⑥授業の概要 |
法学既修者および未修者を対象として初期に履修すべき科目として開講します。法学に関するさまざまなレベルの情報をどのように収集し、有効に活用するかを学習することを目的とします。情報は、伝統的な活字情報を含みますが、既に電子化されている判例等については、電子情報に重点を置きます。情報が獲得できても利用することができなければ意味がないので、判例や学説をどのように要約するか、他人の作成した情報に手を加えてどのように利用するかについても訓練します。授業の一部は講義形式で行いますが、実習形式も加えます。復習としても実習を加味し、成果をインターネットで提出することを求め、効率的な実務を行う基礎的素養を習得します。 |
||
⑦到達目標 |
目標は次の三つです。 (1)法に関する情報を収集できること。たとえこの講義中に情報収集の方策を学ばなかった新しい分野や問題についての情報を得る必要が発生した場合に、情報収集の手がかりをつかむことができること。 (2)獲得した情報を必要性に応じて加工し利用できること。 (3)判決を正確に読むことができること。 |
||
⑧成績評価の基準と方法 |
授業時間中のショートテストおよびレポートなどの提出物によって合否を判定します。 |
||
⑨教科書 |
教科書は使用せずに、必要な情報はシラバスシステムを利用して予め獲得できるようにします。 |
||
⑩参考文献・参考資料 |
指宿信監修「LEGAL RESEARCHリーガル・リサーチ」(日本評論社、2003年) 加賀山茂、松浦好治編『法情報学[第2版]』(有斐閣、2002年) |
||
⑪履修条件その他の事項 |
全員がコンピュータをそれぞれ利用できる環境で実施します。各自ノート型パソコンを持ち込んでください。事前に、大学のネットワークを利用するための手続きを行い、IDとパスワードを取得しておいてください。受講者が相互に連絡を取り合ったり、情報を交換するためのコンピュータ・ネットワーク上のいわゆる掲示板のサービスを提供します。受講者が相互に協力し合い、教えあうことは、奨励しますが、他人のIDを使って実習結果を提出したり、他人の実習結果をコピーして提出することは、カンニング行為として扱います。 |
Ⅱ.授業計画
回 担当 |
①テーマ |
授業内の学修活動 |
④授業時間外の学修活動等 |
|
②ねらい・内容 |
③授業方法・工夫 |
|||
1 |
[はじめに] |
1.この科目の目的 2.法科大学院のIT環境について 3.情報整理の方法 4.シラバスシステム「課題」について 5.判決の読み方について |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
2 |
[判例について知る] |
1.最高裁判例を探す。 2.特定の判例をダウンロードする。 3.関連の下級審判決を探す。 4.下級審判決をダウンロードして、ファイルを加工する。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
3 |
[判決の事実関係を要約する] |
1.「建築士の責任の判決」を読みます。 2.判決の全体の構成を理解します。 3.原告の主張のうち事実関係についての主張を理解します。 4.被告の主張のうち事実関係についての主張を理解します。 5.各裁判所がどのような事実認定をしたかについて理解します。 6.事実の概要を要約します(1200字程度)。 7.判決の利用目的によって事実の要約の仕方が異なることを理解します。 8.シラバスシステム課題提出に課題を提出します。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
4 |
[当事者の請求及び請求原因と判決及び判決理由] |
1.「建築士の責任の判決」の争点のうちルールについての争点を次の順序で整理します。 2.原告はどのような根拠に基づいてどのような内容の請求をしていますか。 3.被告はどのような根拠に基づいてどのような抗弁をしていますか。 4.第一審はどのように判断しましたか。 5.原審はどのように判断しましたか。 6.最高裁は、どのように判断しましたか。 7.三つの裁判所の判断はどのように違いますか。 8.三つの裁判所の判断が異なったのは、なぜですか。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
5 |
[判例の射程範囲を確定する] |
1.依頼人の利益を考えながら、「建築士の責任の判決」と本事例を比較する。 2.「建築士の責任の判決」において主張されなかった論点を羅列する。 |
[以後、A側弁護団、B側弁護団、C側弁護団、D側弁護団、裁判官グループに分かれます。] パソコン使用 講義 + 実習 |
|
6 |
[関連する判例・文献を検索する] |
1.関連するとはどのようなことをいうのか。 2.どの範囲の判例について検索しなければならないか。 3.検索した判例情報をどのように整理するか。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
7 |
"[読まなければならない判決を選ぶ] |
1.各グループ内部で、読む判決の分担を決める。 2.各自分担する判決を読み、事実関係を200字以内で要約する。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
8 |
"[判例評釈・判例解説の読み方] [学説情報の収集] [今まで学んだことで不明なことはないか?] |
1.「法律文献の引用方法」について解説 2.判例評釈・判例解説についての情報収集〔実習〕 3.判例評釈・判例解説の要約の仕方について解説 4.2.で収集した情報を読み、要約して短いレポートを作成して提出します〔実習〕 1.学説情報の収集の入手方法について解説 2.争点、論点についての「学説」情報収集〔実習〕 3.争点、論点についての「学説」情報の整理と更なる調査 1.今までの復習 2.議論の仕方を学ぶ。 3.適切な質問の仕方を学ぶ。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
9 |
[レジュメの作成] |
1.レジュメの作成方法について学ぶ。 2.判例報告のレジュメを作成し提出する。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
10 |
[判例についてグループ内プレゼンテーション&検討] [論点整理] |
各自のレジュメに基づいて報告し、レジュメの再検討、不明個所の明確化、PowerPointの作成等有効な資料提示方法をグループで検討する。 検討の足りない論点がないかを再検討する。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
11 |
[小論文・レポートの書き方 I法律文書作成] |
1.[講義]小論文・レポートの書き方について解説する。 2.[実習]各グループごとに文書を作成する。次の手順で文書を作成する。 1) ナンバーリングのルールも決める。 2) 大きな項目を決める。 3)小さい項目を決める。 4)必ず含めなければならないことがらをキーワードで項目に入れていく。 5)各自どの部分を分担するかを決める。責任者以外は全て単独で分担する。責任者は分担部分を書いた文書を掲示板に貼り付ける。 6)各自分担する部分を書き始める。書く場合には、丁寧に説明することを心がける。責任者は、2)〜4)について文書を作成する。 7) 各自作成した文書を各グループの掲示板に送る。同時に「課題」にも提出する(提出期限は、今週土曜日)。責任者は、2)〜4)についての文書を掲示板および「課題」に提出する(提出期限は、今週土曜日)。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
12 |
[小論文・レポートの書き方 II 訴状等の作成] |
[実習]1.各グループごとに分担した文書を編集する。原告弁護団は、原告弁護団長を中心に、訴状および理由書を作成する。各被告弁護団は、同様に答弁書を作成する。裁判官グループは、論点を想定して判決文を作成する。 2.原告弁護団および各被告弁護団は作成したものをLearningSyllabusに送る(提出期限は、今週土曜日)。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
13 |
[小論文の発表のための検討] |
1.最終チェック 検討が足りない項目はないか。内容的に誤りはないか。 論理の展開は十分に説得的か。 表現が不正確・不適切な部分はないか。もっと適切な表現方法はないか。 発表する場合の資料の提示方法についても考えます。 2.裁判官グループは、判決文に手を入れて完成させる。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
14 |
[小論文の発表および検討Ⅰ] " |
適切なスピードで発表します。他人の発表に対してどのような質問・コメントを出すのが適切かについて学びます。 どのような報告がよい報告かについて検討します。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|
15 |
[小論文の発表および検討Ⅱ] " |
適切なスピードで発表します。他人の発表に対してどのような質問・コメントを出すのが適切かについて学びます。 どのような報告がよい報告かについて検討します。 |
パソコン使用 講義 + 実習 |
|