Ⅰ.授業の概要
①講義科目名(単位数) |
模擬裁判(2単位) |
②担当者名 |
久世表士・熊田均・久志本修一 |
③科目の種類 |
実務基礎科目 |
④必須の有無 |
選択 |
⑤配当学年・学期 |
3年(既習者コース:2年)秋学期 |
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⑥授業の概要 |
民事の模擬裁判を3つの事例をもとに体験してもらうことにします。裁判官役,原告役,被告役に適宜分かれた形で実施します。第1事案は交通事故に基づく損害賠償請求事件(久志本担当),第2事案は賃料不払に基づく家屋明渡請求事件(久世担当),第3事案は,金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求事件(熊田担当)を扱います。訴訟は判決だけでなく,和解により終了する場合も多いので和解手続も取り入れます。事案によっては,訴訟の準備段階の作業や訴訟終了後の措置についても触れます。 なお,弁護士3人の共同講義ですので,それぞれの個性や考えの違いが出るかもしれません。 |
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⑦到達目標 |
これまで学んだ民法,民事訴訟法等の法律を実際の裁判実務でどのように生かすかを模擬体験し,将来実務修習に入った際に戸惑うことがないよう橋渡しをすることを目標とします。 |
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⑧成績評価の基準と方法 |
模擬裁判中の発言や態度を50%,作成してもらう書面を50%として評価します。 |
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⑨教科書 |
特にありません。 |
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⑩参考文献・参考資料 |
民事法演習,民事実務総合研究,民事実務演習で使用した教科書等を参考にしてください。 |
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⑪履修条件その他の事項 |
模擬裁判という講義の性格から上限25名とします。4名以下の場合は開講しません。 |
Ⅱ.授業計画
回 担当 |
①テーマ |
授業内の学修活動 |
④授業時間外の学修活動等 |
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②ねらい・内容 |
③授業方法・工夫 |
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1 |
オリエンテーション |
・今後の授業の進め方について説明し,役割分担を決めます。 ・各担当教員が,訴訟についての経験談,訴訟に対する考え方や姿勢を語ります。 ・各事案の概要について説明して,講義の全体像を示します。 |
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2 |
第1事案(交通事故に基づく損害賠償請求を題材とした事案)について 第1回口頭弁論期日に向けての訴訟準備 |
・原告役には,予め事案の概要書,関係資料を配布しますので,訴状と書証(甲号証),証拠説明書を作成してもらいます。 ・被告役には,予め訴状,書証(甲号証),関係資料を配布しますので,答弁書と書証(乙号証),証拠説明書を作成してもらいます。 ・裁判官役には,予め訴状,答弁書,甲号証,乙号証を配布しますので,釈明事項,争点整理案を作成してもらいます。 (担当教員が作成した訴状,答弁書を前提として訴訟を進行させます。第2事案,第3事案も同じ。) |
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原告役は訴状等,被告役は答弁書等,裁判官役は争点整理案等を作成して事前に提出してもらいます。 |
3 |
第1回口頭弁論期日 |
・予め配布する訴状,答弁書,書証に基づいて,第1回口頭弁論期日を実施し,訴訟を進行させます。 ・予め配布する求釈明書と事情聴取書をもとに準備書面を陳述します。 |
法廷教室を使って,口頭弁論期日を実施します。 |
予め配布する求釈明書,事情聴取書をもとに準備書面を作成して事前に提出してもらいます。 |
4 |
第2回口頭弁論期日,証人(原被告本人)尋問 |
事故態様(過失相殺)について,原告役から1名,被告役から1名を選んで,予め担当教員と打ち合わせの上,本人(証人)として尋問期日において,陳述(証言)に臨んでもらいます。 原告に対する主尋問(15分),反対尋問(15分),裁判官役からの補充尋問,被告に対する主尋問(15分),反対尋問(15分),裁判官役からの補充尋問を実施します。 |
法廷教室を使って交互尋問を実施します。 |
原被告(証人)からの事情聴取書と陳述書をそれぞれ配布しますので,全員に尋問事項書を作成してもらいます。 |
5 |
判決書の作成・講評・意見交換 |
・裁判官役は合議を行い,判決書(概要)を作成して下さい。 ・原告役,被告役は,裁判官の合議を聞いて,各自の意見をレポートして下さい。 |
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6 |
第2事案(賃料不払に基づく家屋明渡請求を題材とした事案)について 訴訟提起とそれに対する応訴準備など |
・原告役には,事案の概要書,関係資料を配布しますので,訴状と書証(甲号証),証拠説明書を作成してもらいます。 ・被告役には,予め訴状,書証(甲号証),関係資料を配布しますので,答弁書と書証(乙号証),証拠説明書を作成してもらいます。 ・裁判官役には,予め訴状,答弁書,甲号証,乙号証を配布しますので,釈明事項,争点整理案を作成してもらいます。 ・なお,賃料催告の内容証明郵便を全員に起案してもらいます。 |
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原告役は訴状等,被告役は答弁書等,裁判官役は争点整理案等を作成して事前に提出してもらいます。 |
7 |
第1回口頭弁論期日 第2回口頭弁論期日 |
・予め配布する訴状,答弁書,書証に基づいて,第1回口頭弁論期日を実施し,訴訟を進行させます。 ・予め配布する第1回口頭弁論における求釈明に対する釈明並びに訴状および答弁書作成後に新たに判明した原被告側の事実と関係資料を配布するので原被告がそれぞれ準備書面を作成して陳述します。 ・裁判官役は,予め配布する原被告の準備書面などを検討して争点整理案・釈明事項書を作成します。また,次回期日は弁論準備手続にするのでその手続を法廷で行います。 |
法廷教室を使って,口頭弁論期日を実施します。 |
原被告役は準備書面を,裁判官役は争点整理案を改定して作成し,事前に提出してもらいます。 |
8 |
第1回弁論準備手続 |
・予め配布する争点整理案にしたがい,裁判官,原告,被告が争点や証拠について意見を述べます。 ・また,裁判官役,原被告役が,それぞれの和解案を提示し,和解(明渡しを前提とする和解)を成立させます。書記官役も登場してもらいます。 |
教室をラウンドテーブル法廷に見立てて弁論準備手続を行います。 |
和解条項案を作成して事前に提出してもらいます。 |
9 |
第3回口頭弁論期日(本人尋問,証人尋問) |
和解が不調となった後の第3回口頭弁論期日を進行させ,原告役から1名,被告役から1名を選んで,原告に対する主尋問(15分),反対尋問(15分),裁判官役からの補充尋問,被告に対する主尋問(15分),反対尋問(15分),裁判官役からの補充尋問を実施します。基本的には第4回目と同じです。 |
法廷教室を使って交互尋問を実施します。 |
原被告(証人)からの事情聴取書と陳述書をそれぞれ配布しますので,全員に尋問事項書を作成してもらいます。 |
10 |
第3事案(金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求を題材とした事案) 口頭弁論手続に向けての準備1 |
・請求者側(原告役)には,予め事案の概要書,関係資料を配布しますので,請求書面を作成してもらいます。 ・被請求者側(被告役)には,予め事案の概要書,関係資料を配布しますので,回答書を作成してもらいます。 ・原告役は,訴状・書証・証拠説明書を作成してもらいます。 ・被告役には予め配布する訴状に基づき,答弁書・書証・証拠説明書を作成してもらいます。 |
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原告役には請求書,訴状等を,被告役には回答書,答弁書等を作成して事前に提出してもらいます。 |
11 |
口頭弁論手続に向けての準備2 |
・原告役には予め配布した答弁書をふまえて準備書面,書証,証拠説明書を作成してもらいます。 ・被告役には予め配布した原告作成の準備書面に基づき反論の準備書面,書証,証拠説明書を作成してもらいます。 ・裁判官役には予め作成した原被告の準備書面に基づき,争点整理案を作成してもらいます。 |
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原被告役は準備書面を,裁判官役は争点整理案を作成し,事前に提出してもらいます。 |
12 |
第1回口頭弁論期日 |
・第1回口頭弁論期日を実施し訴訟を進行させます。 ・完成された争点整理表に基づき,裁判所が原告・被告に立証予定・立証方法について意見を聞きます。 ・裁判所より和解勧告をします。 |
法廷教室を使って口頭弁論期日を実施します。 |
裁判官役は,争点整理表を改定し完成したものを事前に提出してもらいます。 |
13 |
第1回準備手続 |
・裁判所による和解案の提示 ・原告・被告それぞれの対応 (和解に臨むにあたっての原告側・被告側の意向を予め配布します。被告側の財産状況について予め配布します) |
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裁判官役は事前に和解案を作成して提出してもらいます。和解に臨むにあたって原告・被告双方とも 腹案を考えてくることにします。 |
14 |
講評・意見交換 |
模擬裁判を通じて学んだことをそれぞれの立場から討論します。 |
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総括 |
全体の講評を行います |
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