00521 思想史に学ぶ人間の尊厳A
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選必 |
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春学期 |
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2 |
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2〜4 |
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高橋 広次 |
他の科目との関連 | |
履修対象学科 | 全 |
副題 | 人間の尊厳と人間の責任 |
授業概要 | 「人間の尊厳」に類する思想は、長い歴史をもって変遷を遂げている。それは、表現を異にするとはいえ、洋の東西を問わず、共通に知られていた精神である。しかし本授業では、主として、ヨーロッパ思想史の流れの中から、キリスト教に基づく「神の似像」、マルクス主義に由来する「人類愛」、リベラリズムが前提する「個人の尊重」の三つの典型的理解を取り出し、その主張内容の差異を明らかにする。 |
学修目標 | 「人間の尊厳」理念が、思想的にキリスト教によって確立されながらも、近世以降の世俗化の過程を辿るうちにどのように理解が変貌を遂げていったかを探る。そしてそれは、現代、国家権力濫用の歯止めといった役目から、ハイテクノロジーの暴走を歯止めする役割へと意義の変遷が見られることを学ぶ。こうした中で、自由を授かった「人間の責任」の重さを考える。 |
授業計画 | 授業の流れは以下の通り。 (1) 「人間の尊厳」という言葉の意味 (2) 古代ギリシア・ローマ期での萌芽;卓越した政治家の威厳 (3) 聖書の説く「人間の尊厳」;人間本性における万人の平等 (4) イマゴ・デイとペルソナの意義;神を受容しうる我 (5) ルネッサンス期の尊厳理解;カメレオンのように何にでもなりうる我 (6) ルターによる革新的理解;徹底的な罪人としての我 (7) デカルトとパスカルの尊厳理解;宇宙と異なったあるいは超える我 (8) カントの目的自体としての尊厳;目的自体として尊重される我 (9) フォイエルバッハとマルクス;神が人間を造ったのでなく、人間が神を造った(唯物論) (10) ニーチェ;宗教や道徳は強者に対する大衆・僧侶の嫉妬の産物 ⑪ E.ブロッホのユートピア思想;社会的ユートピアが進歩を生み出す ⑫ リベラリズムの基本的人間観;自己決定権の尊重、他律に対する嫌悪 ⑬ 人間中心主義と生命中心主義;人間は万物の霊長か? ⑭ H.ヨナスの「責任原理」;ハイテクノロジーの広範囲にわたるリスクについて、「地位の高い者は責任 も も重い」 |
評価方法 | 成績の評価に際しては、筆答による定期試験の成績結果、及び、毎回の出席を重視し、総合的に判断する。比率は定期試験が70%、授業出席が30%とする。 |
テキスト | レジュメを配布する。なお、参考書として、ホセ・ヨンパルト『人間の尊厳と国家の権力』(成文堂)を薦める。 |
その他 | この科目は、次の JABEE 対応コース「情報技術専修コース(情報通信学科・情報システム数理学科)」の学習・教育目標に対応する(小項目:A-2)。 |