20011 他者と自己
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選 |
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秋学期 |
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2 |
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2〜4 |
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坂井 信三 |
他の科目との関連 | |
他学科履修 | 可 |
副題 | 人格表象の人類学 |
授業概要 | 「自分」というものは、個人のレベルでも集団のレベルでもいつも「他者」との相関関係の中にあり、「他者」のあり方に応じて「自己」のあり方も変化します。その相関関係を、哲学的に、あるいは心理学的に検討してみることもできるでしょう。しかしこの授業では、歴史人類学の立場から考えてみようと思います。 現実の生活を営んでいる人間にとって、「他者と自己」の相関関係は抽象的なものではなく、具体的な歴史的条件のもとで形成されてきた社会と文化のなかで展開するものです。したがって、人が「自己」と「他者」をどのように経験し表象するかは、抽象的な事柄ではなくつねに具体的な歴史的・社会的条件のもとにあります。 授業の前半では、多民族共生の世界である西アフリカ内陸サバンナ地方を舞台に、長い歴史のなかでそれぞれの集団が地域社会における自己のアイデンティティをどのように形成し、他の集団との関係を営んできたかを検討します。後半ではその人々が、20世紀の植民地支配という過酷な歴史的条件の下で、地域社会のレベルを離れた「世界」の中のアフリカ人として、どのように自己を形成し、表象しようと努力してきたかを考えます。 |
学修目標 | 他の社会・文化における人格のあり方を理解することによって、私たちが当然のものとして疑わない人格観を相対化し、私たちの人間理解をより柔軟にしていく可能性を理解してほしいと思います。 |
授業計画 | 1. 前半のイントロダクション:異なる諸民族の分化と共生 2. 西アフリカ内陸サバンナの民族誌1 3. 西アフリカ内陸サバンナの民族誌2 4. 諸民族共生の歴史的背景 5. 内陸デルタのケーススタディ 6. 異なる人々の関係:儀礼的同盟の社会的機能 7. 異なる人々の関係:階層制と専業職人制 8. 後半のイントロダクション:社会的変化と人格表象の歴史的変化 9. イスラームの普及と個としての信仰者の出現 10. 国家と地域社会 11. 植民地支配とイスラーム聖者1 12. 植民地支配とイスラーム聖者2 13. キリスト教徒との出会い 14. 植民地支配を生きた20世紀の知識人 15. 定期試験 |
授業時間外の学習(準備学習など) | 新聞、テレビ、雑誌など、様々なメディアで、アフリカに関する情報をあつめ、関心をもつこと。 |
評価方法 | 定期試験による |
テキスト | 指定しない。毎回プリント配る |
その他 |