南山大学

 
指定
期間
春学期
秋学期
単位
年次
4
担当者
青柳 宏
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題  普遍文法と個別言語
授業概要  人種、国籍、生育環境に関係なく、ヒトはだれでも少なくともひとつのことばを母国語として学ぶことができる。また、ことばの修得は非常に短期間の内に(通例、4、5歳までに)行われる。これらの事実を合理的に説明するためには、ヒトがことばに関する知識(=抽象的な意味での「文法」)をもって生まれてくる、つまり、「文法」は遺伝子的にプログラミングされている、と考えざるをえない。この生得的な知識は、ヒトという生物学的種に固有のもので、人種や国籍に左右されないため、「普遍文法」と呼ばれる。ところが、「普遍文法」は直接のぞいて見ることのできない、一種のブラックボックスのようなものである。この中身を知るためには、その具体的表れである日本語や英語といった個別言語を分析して、何が言語の普遍的な性質なのかを決定しなければならない。本演習では、おもに日本語という個別言語の分析を通して、それが普遍的な理論の構築にどのように貢献できるのかを検討する。
学修目標 1.普遍文法研究の方法論を学ぶと同時に、実際の言語現象を自ら分析できる能力を養う。
2.演習におけるプレゼンテーションを通して、自らの考えをまとめ、他者に伝える能力を高める。
3.研究プロジェクトを自ら立案し、先行研究を批判的に評価し、最後に自らの提案を論文にまとめるという作業を通して、総合的な論理的思考力、分析力を涵養する。
授業計画 <演習III 春学期>
 Tsujimura(2007: chap. 6)の内容のプレゼンテーションを受講生が主体となって行う。それとともに、受講生各自が卒業論文のための研究プロジェクトを立案し、中間報告を行う。
第1週〜第3週:  語の意味と文の意味
第4週:個人発表1
第5週〜第7週:  テンスとアスペクト
第8週:個人発表2
第9週〜第11週:  動詞の意味論
第12週:個人発表3
第13週〜第14週:  語用論

<演習IV 秋学期>
 Tsujimura(2007: chaps. 7, 8)の内容のプレゼンテーションを受講生が主体となって行う。さらに、受講生が各自の研究プロジェクトの進捗状況を報告をするとともに、卒業論文を作成のための指導を行う。
第1週〜第2週:  方言のバリエーション
第3週:個人発表1および論文指導
第4週〜第5週:  文章のスタイルと談話のレベル
第6週:個人発表2および論文指導
第7週〜第8週:  発話における性別による違い
第9週:個人発表3および論文指導
第10週〜第11週:  言語獲得における規則性
第12週:個人発表3および論文指導
第13週:こどもの発話における間違いの一般性
第14週:個人発表4および論文指導
授業時間外の学習(準備学習など) 1.毎回授業で扱うテキストの該当箇所を予習しておく。
2.テキストの章末の課題をレポートにして提出する。
3.担当者と適宜相談しながら、研究プロジェクトを立案し、実行する。
評価方法  章末課題が20%、個人発表が40%、研究プロジェクトへの取り組みが40%
テキスト  Tsujimura, Natsuko(2007) An Introduction to Japanese Linguistics(2nd edition), Blackwell.
その他