南山大学

 
指定
期間
通年+夏期後半
単位
年次
2〜4
担当者
SAGAYARAJ Antonysamy
他の科目との関連 初登録の学生はI1に登録すること
他学科履修 人間文化研究科人類学専攻生のみ可
副題
授業概要  文化人類学の特徴は、文献研究の成果と自分自身の現地調査による資料をつきあわせ、研究の新たな局面を切り開くことにある。この授業では、まず文献研究によって調査地とテーマを絞り込み、テーマに適した調査方法を学び、その後全員で短期間の実地調査を行う。さらに現地調査で得た資料と先行研究の成果をつきあわせ、討論・分析を行い、共同で調査報告書をまとめる。
学修目標  文化人類学では、ある特定の地域に一定期間住み込みフィールドワークを実施する。調査者は住民へのインタビューを行い、自身も住民の様々な活動に参加しながら観察を行う。また、フィールドワークを行う前には関連情報を収集し、調査後にはその結果を報告書にまとめる。
 本授業では、履修者に実際にフィールドワークとそれに伴う様々な作業を体験してもらい、文化人類学に欠かすことのできないフィールドワークという方法論を学ぶ。
授業計画  まず春学期に事前の学習としてインドという国の全体像を把握する。インドの地理、歴史、言語、文化、宗教などの項目について、参加者が各々調べ発表する。また現地でのフィールドワークの活動を円滑に行えるようにするために初級レベルのタミル語を習得することと、現地協力者の大学生とコミュニケーションをとるために必要な英語能力をつけることが求められる。夏期には、学外授業として二週間の調査を行う。秋学期の授業では、春学期に集めた文献資料と夏期休暇中に行った現地調査で得られた資料や情報をつき合わせ、整理・分析した上で、最終的に調査報告書をまとめる。フィールドワークのノウハウに関する知識がない場合も履修可能であるが、そのような学生が多数を占める場合には、春学期に、地域調査等の事前準備と並行してフィールドワークに関する概説書を読むことにする。なお調査やそれに伴う研究に関わる出費(旅費、滞在費、資料費など)はすべて履修者の個人負担となる。また現地での宿泊地は、後述するヴァディパッティ村にある神言会の施設にする予定である。
調査計画の概要
 このクラスでは、2008年度に実施したフィールドワークと同様に、インド南部タミル・ナードゥ州、マドゥライ県にあるヴァディパッティ村で調査を行う予定である。聖母マリアの巡礼地であるマドゥライでは、毎年9月8日アロッキャ・マーダー(Our Lady of Good Health、健康のマリア)・フェスティバルが行われる。それはタミル・ナードゥ州の東部にあるナーガッパティナム県のVelankanni村ではじまった、ローマ・カトリックの聖母マリアのお祭りである。現在ではVelankanniを中心にマドラス、マドゥライなどでも行われているが、特にヴァディパッティ村のフェスティバルは有名であり、大勢の人々が全国から集まってくる。聖母は健康のマリア様とも呼ばれており、教会の祭壇の前からあふれでる聖水によって人々の病気が治ると信じられている。
 聖水の信仰がきっかけとなりヴァディパッティ村には恒常的に人々が集まるようになり、その結果フェスティバルも大規模に行われるようになった。本調査ではフェスティバルの様子を観察するが、それ以外に村の現状を把握し、村に起こった近年の社会変動について情報を集めることを目的とする。
授業時間外の学習(準備学習など)  英会話とタミル語講座に参加すること(時間と曜日は履習生と相談して決定)。発表の有無にかかわらず、授業でとりあげるテーマを予習しておくこと。
評価方法 授業と学外(海外)調査に取り組む姿勢、調査計画書の内容、調査報告書の内容などを総合的判断する。
テキスト
その他 〈現地調査実施要領〉
 滞在地域:タミル・ナードゥ州マドゥライ県ヴァディパッティ村
 期間:二週間(8月中旬から8月下旬)
 費用:24万円
 現地調査出発前に危機管理、健康管理などに関するオリエンテーションを行う。
 現地調査終了後には、調査データを整理・分析して、報告書にまとめる。
〈登録に関する条件〉
 この科目の性格上、通常授業時間以外にもさまざまな作業のために多大な時間と労力が要求されることを覚悟すること。
・特に海外における実施調査であることをふまえ、個人として自覚を持って責任ある行動を取るのみならず、協調性をもち、常にグループにどういう貢献ができるかを考えること。
・担当者が実施する事前の説明会(日時は人類文化学科合同研究室前の掲示板に掲示する)に参加し、その指示に従うこと。その際、個人としての実施調査計画書の提出を求めることがある。
・受講者数は15人前後を予定している。