南山大学

 
指定
期間
夏期前半
単位
年次
2〜4
担当者
吉田 憲司
他の科目との関連
他学科履修
副題 文化の収集、文化の展示—博物館・美術館をみつめなおす
授業概要  ミュージアム、すなわち博物館や美術館は、単なる過去の遺産の保存・伝承の装置であるだけでなく、新たな文化を作り出す装置でもある。この講義では、西洋近代が生み出した博物館・美術館という装置が、西洋において、そして日本において、「異文化」や「自文化」をいかに収集し、表象していったかを歴史的に検証するとともに、1990年代以降の文化の展示をめぐる新たな動向を検討する。そこでは、美術館と博物館、美術史学と人類学、芸術と文化、西洋と非西洋、そして自己と他者といった、既成のあらゆる区別が再検討されることになろう。その作業はまた、日本における博物館・美術館の営みを、世界史的な視野のもとに位置づけなおす作業でもある。
学修目標  近代が生み出した「文化を構築する装置」としての博物館・美術館の問題点と可能性を洗い出すなかで、われわれの自己の文化、他者の文化の認識の方法、自己と他者のかかわりのあり方について問い直し、考究する姿勢と思考を身につけること。また、その作業を通じて、一見自明と思われる既成の制度に潜む権力関係を洞察する力を習得することを目的とする。
授業計画  授業ではディスカッションを重視する。また、常に世界の動きと日本の動きを連動させて考察することを基本とする。
1.イントロダクション:問題の所在
2.問題意識の共有:「異文化へのまなざし」展再訪
3.契機:「20世紀美術におけるプリミティヴィズム」展—博物館、美術館の邂逅、そして闘争
4.コレクションの系譜学I:ヨーロッパ、初期のコレクションから博物学の成立まで
5.コレクションの系譜学II:ヨーロッパ、博物館の成立まで
6.コレクションの系譜学III:日本における初期のコレクションと博物学
7.コレクションの系譜学IV:日本における博物館の成立
8.20世紀の民族学博物館と近代美術館
9.転機:1990年代から2000年、文化遺産の返還・継承・活用
10.文化の展示の現在I:地球規模のモダニズム
11.文化の展示の現在II:自らを問う—自省的展示
12.文化の展示の現在III:対話の実践—共同作業の試み
13.文化の展示の現在IV:自己の表象—自文化のための博物館
14.総括:フォーラムとしてのミュージアム
授業時間外の学習(準備学習など) とくになし。
評価方法 ディスカッションへの積極的参加が50%、レポートが50%
テキスト 参考文献については、授業の中で紹介する。
その他