南山大学

 
指定
期間
通年
単位
年次
3・4
担当者
高橋 広次
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題 現代における三権分立制度の問題性をめぐって
授業概要 現在わが国で進められている司法制度改革の基本理念は、「法の支配」である。この理念は、歴史的には「人の支配」と対立する原理として理解されるが、この区別にはさほど明確には識別し難い面もある。なぜなら、「法が支配する」ことはありえず、支配するのは必ず生身の「人間」を通してであるからである。問題なのは、「法」を司る法機関のあり方である。本演習では、この「法の支配」という理念を、法曹活動ならびに官僚活動の文脈において検討する。
学修目標 「法の支配」の名において、事件を公正に処理せねばならない裁判官が、外的圧力や、特定イデオロギーの偏向によって左右されてはならない。また「法の支配」の完成を目指して、今日では、立法過程のみならず、司法過程についても民主主義化が主唱される。いわゆる「裁判員制度」である。しかし、導入決定後も議論の対象となっている。また最近「官僚内閣制」批判の下に、公務員による逸脱行為が指弾されることになった。これらを含め、「法の支配」が三権分立制の中でいかに健全に遂行されるべきかについて考える。
授業計画 授業計画は以下のとおり
1.春学期テーマ全体のポイント、ゼミ運営の方法等を説明する。
2.春学期最初にテーマの選択を行い、レポーターを決める(報告分担)。
3.〜14.分担計画に従って、レポーターの報告をもとに質疑応答を行う。
15.秋学期テーマ全体のポイント、ゼミ運営の方法等を説明する。
16.秋学期最初にテーマの選択を行い、レポーターを決める(報告分担)。
17.〜28.分担計画に従って、レポーターの報告をもとに質疑応答を行う。
29.定期試験:正式レポート提出
選択されうる主要な報告テーマを一例として以下に述べる。
 (1) 司法過程について
 ・裁判官: 少年や精神障害者の「犯罪」、被害者なき「犯罪」、裁判員制等
 ・検察官: 起訴便宜主義、被害者(遺族)の訴訟参加等
 ・弁護士: 様々な法曹倫理(依頼人への誠実義務等)
 (2) 立法・行政過程について
   これまで議院内閣制の下に国会や内閣が官僚を従えている建前が崩壊し、官僚支配の実態が明るみに出された。政権交代の旗印は、官僚主導体制の打破と、政治家の指導力の強化である。いわゆる「官僚内閣制」と呼ばれる実態の調査とその問題点の克服方法について議論する。
授業時間外の学習(準備学習など) 各自選択したテーマに即応した参考文献を指示するので、報告前に読んでおくこと。
評価方法 平素の演習への取り組みの姿勢(出席日数、報告準備の周到さ、議論への参加度)50%、及び学期ごとのレポート査定50%、に基づく総合評価による。
テキスト 特に指定しないが、佐藤幸治『日本国憲法と「法の支配」』(有斐閣)を勧める。その他は選択したテーマに応じて指示する。
その他 特になし