南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
4
担当者
水留 正流
他の科目との関連 刑法総論、現代社会と刑法各論A・B
他学科履修 不可
副題 最近の裁判例から見た刑法
授業概要  4年次生の中には、判例集の実物をほとんど見たことがないまま、という学生もいるかもしれない。法曹を目指す者はもちろんだが、一般企業や行政庁に就職する場合でも、法的問題の検討が迫られる局面では、教科書等だけでなく、解決すべき問題に関連する裁判例を探して検討し、自らの問題解決の資料としなければならない場面が出てくることも想定される。本演習では、『平成20年度重要判例解説』(ジュリスト臨時増刊)所収の刑法判例を検討し、判例研究の手法とその意義を学ぶことになる。
学修目標 1.判例の調べ方、読み方を理解して、社会に出た際に法的事項の調査が正しく行えるようになること。
2.刑法の諸論点の検討を通じて、法的問題を自ら検討して解決する能力を身につけるようになること。
授業計画  報告をもとに、参加者全員で検討を行う。参加者は、以下に掲げる判例から自らの報告する裁判例を選択する。第3回以降の具体的な順序は、初回に参加者と相談して調整する。
1.オリエンテーション
2.判例研究の方法
3.薬害エイズ事件厚生省ルート(最決平成20年3月3日刑集62巻4号567頁)
4.パンチダッシュ事件(最決平成20年5月20日刑集62巻6号1786頁)
5.喫煙所因縁事件(最決平成20年6月25日刑集62巻6号1859頁)
6.塗装業者殺害事件(最判平成20年4月25日刑集62巻5号1559頁)
7.島根沖覚せい剤密輸事件(最判平成20年3月4日刑集62巻3号123頁)
8.名古屋信号無視事件(最決平成20年10月16日刑集62巻9号2797頁)
9.逃走中の暴行(最決平成20年1月22日刑集62巻1号1頁)
10.立川自衛隊宿舎事件(最判平成20年4月11日刑集62巻5号1217頁)
11.インターネット上の名誉毀損(東京地判平成20年2月29日判タ1277号46頁)
12.暴行後の領得意思(東京高判平成20年3月19日判タ1274号342頁)
13.祖母の横領(最決平成20年2月18日刑集62巻2号37頁)
14.手紙「永遠に裁判は続く」事件(最決平成19年11月13日刑集61巻8号743頁)
授業時間外の学習(準備学習など) 1.参加者全員が、報告のある裁判例及びそれに関する『重判解』の解説に目を通しておく。
2.報告者は、1.の詳細な検討に加えて、関連する判例研究、論文、裁判例、教科書の記述を広く調査する必要がある。そのうえで、(1)判例の事案、(2)争点、(3)裁判所の論理構成、(4)当該裁判例の射程の各点をわかりやすく報告するため、読み原稿及び配布用レジュメを用意する。
3.その他、詳細は初回授業時に説明する。
評価方法 報告(50%)及び毎回の授業におけるパフォーマンス(50%)をもとに評価を行う。授業への出席は、パフォーマンス評価に当たっての当然の前提である。
テキスト 資料を配付する。
その他  演習形式の授業では、初回授業で授業プログラムを確認する必要があり、その後予定外の者が参加することは他の受講者の迷惑になるため、必要と認められる措置を執ることがないままに初回を欠席した者については、本演習の受講を認めない。
 また、万一、定員を超える受講希望者があった場合には、初回の授業出席者の中から何らかの方法で選抜を行うことがあり得る。