南山大学

 

【科目コード】97803

【科目名称】イスラム圏アジア・アセアン諸国の企業経営

【担当者】竹野 忠弘

【単位数】2      【配当年次】1秋・2     【開講期】秋学期

 

【授業概要】

イスラム圏アジア・アセアン諸国における企業経営について、イスラム金融に関する、英語文献テキストを講読しながら、講義する。 テキストは、以下の文献である。

 

Angelo M Venardos, ‘Islamic Banking & Finance in South-East Asia: Its Development and future (2nd ed.)’, World Scientific Publishing Co.Pte.Ltd.,2006.(paper)

 

テキストの内容にそって、(1)イスラム圏の経済史、(2)イスラム法、イスラム商法、(3)イスラム金融、(4)東南アジアにおけるイスラムと欧米植民地、(5)マレーシア・インドネシア・ブルネイ・シンガポールにおけるイスラム金融、(6)まとめ、という構成で展開する。テキストを順次読み進めていく。

講義に先立って、文献(英文)を読み取り予習してくる。講義では、内容の概要を報告してもらい、要点ならびに分からなかった点をあげる。次いで、講師が関連する内容について補足する。受講者全員で、要点ならびに疑問点について理解を深めていく。

「アジア・アセアン諸国」は、地理的にIndo-china地域に位置し、イスラムの文明および文化習俗を含む、多文明社会・多文化社会である。さらに、植民地経済による欧米近代化と資源輸出国化、米系・日系企業の海外直接投資と対米・対日輸出主導工業化、アジア通貨危機による経済かく乱と日系企業活動との連携による回復、という歴史を共有する。

特にマレーシアは、こうした要素を全てもち、かつ多文化融合・文化的寛容という「イスラム圏」の特徴を持つ諸国のひとつである。イスラムの制度や文化を主要としながらも、マレー系現地民・華人系・インド系・少数民族からなる、いずれもが過半占めない、多文化共存社会である。また英連邦諸国の一員でもあり、イスラム圏であると同時に英連邦諸国圏という、2つのサブ・グローバル経済圏に属する。その結果、例えば、技術者人材育成においては、英連邦のサブ・グローバル職業資格制度を採用する一方で、日系企業の企業内人材育成制度と国内職業教育制度や公的人材育成との連携を図るという特徴をもつ。

産業も多様である。資源系の第1次産業から、2次産業の製造業、さらには情報通信関連の第3次産業にわたる広範な産業・企業群をもつ。1次産業は、スズや銅などの鉱物系、天然ガスや石油などの燃料系、天然ゴムや砂糖きびなどの農産物系にわたる。第2次産業の製造業も、家電・自動車から半導体製造まで多面である。以上のことから、イスラム圏アジア・アセアン諸国の代表例としてのマレーシアについて、その現地企業と日系製造業企業との新たな事業連携プロジェクトについて、受講者全体で考えてみたい。

【到達目標】

欧米型市場経済によるグローバル経済分析およびそれに基づく「企業経営」観を、絶対視せずに数ある解釈のひとつとして相対化し、物事の多面性を受け入れ、それとの融合・連携を図る知力を培うことが、本講義の到達目標である。

【授業計画】

1.        イントロダクション:「イスラム圏アジア・アセアン諸国の企業経営」研究の進め方

2.        イスラム圏の経済史、

3.        イスラム法、イスラム商法、

4.        イスラム金融、

5.        東南アジアにおけるイスラムと欧米植民地、

6.        マレーシア・インドネシア・ブルネイ・シンガポールにおけるイスラム金融

7.        まとめ

8.        日マ連携事業戦略プラン

【授業時間外の学習(準備学習など)】

   テキスト・英文を購入し、各回扱う章を必ず一読して講義にのぞむこと。

【評価方法】

①文献の読書、②グループワークへの参加・貢献を、いずれも単位修得の必要条件とする。いずれかひとつでも欠く場合は、単位認定をしない。2項目すべてを満たした受講者について、同じ50%のウエイトで成績評価を行う。

【テキスト】

基本的に、以下の文献をテキストとして利用する予定である。なお、開講時点までに、他に良い文献が見つかった場合や新規に刊行された場合は、変更を検討する。

Angelo M Venardos, ‘Islamic Banking & Finance in South-East Asia: Its Development and future (2nd ed.)’, World Scientific Publishing Co.Pte.Ltd.,2006.(paper)

【参考文献】

講義の中で適宜紹介する。

【備考】

英文文献の読み取りを中心に講義を行う。応分の英語の読解力ならびに日本語での表現能力を必要とする。