南山大学

 

【科目コード】97821

【科目名称】環境会計システム

【担当者】林 秀美

【単位数】2                    【配当年次】12     【開講期】春学期

 

【授業概要】

環境会計の基礎概念を中心とする評価法・測定法について理解を深め、企業組織における環境会計システムづくりの基礎的方法について学ぶ。講義では、まず環境会計システムが必要とされる背景とその重要性について徹底して理解し、次に個別トピックであるシステム構成などについて、従来の会計システムとの類似点・相違点を含めて包括的に学ぶ。具体的に、環境会計実務ポイントと留意点として、環境保全ガイドラインに関する環境省のガイドラインなどを中心に基本的な枠組みを解説する上で、事例として環境会計導入企業等を実務的視点から解説する。

【到達目標】

 これからの企業経営における環境会計の重要性を認識することを前提とし、実際に個別の企業において、環境会計システムを立案・導入していくうえでの一連の基礎概念および理論の理解、システム作りの基礎的方法およびプロセス・マネジメントについて、汎用的すなわち応用可能性の高い方式について受講者の理解と実践能力を高めることを目標とする。

【授業計画】

1.               環境問題と環境経営について

     (1)環境問題の現状と循環型社会 (2)持続可能な発展と環境戦略

2.               会計とは何か(その1):定義と捉え方

     (1)環境会計と財務会計 (2)環境会計の歴史と基礎的な考え方

(3)日本を含む各国の環境会計事情

3.               環境会計とは何か(その2):環境会計の重要性 

     (1)なぜ環境会計が必要か  (2)環境会計の環境経営への必要性・有効性

4.             日本における環境会計の説明

    (1)環境会計のタイプ (2)環境会計の構成 

5.             環境会計の機能

          (1)内部機能と外部機能 (2)環境会計の全体像を知る(実務)

6.             環境保全効果の把握について(その1)

              (1)環境保全効果とは (2)環境保全効果の分類 

7.             環境保全効果の把握について(その2)

                   (1)環境保全効果の復習 (2)環境保全効果(貨幣情報)の把握(実務)

8.             連結環境会計の集計

   (1)連結手順について (2)実務の導入と活用

9.             環境会計の実例紹介と解説(その1)

10.            環境会計の実例紹介と解説(その2)

11.            環境会計の実例紹介と解説(その3)

12.            環境会計の実例紹介と解説(その4)

13.            環境会計の実例紹介と解説(その5)

14.            環境会計の実例紹介と解説(外国企業)(その6)

15.            環境会計の今後の方向性

           (1)重要ポイントの再点検 (2)まとめと復習

【授業時間外の学習(準備学習など)】

  講義中に配布した資料等を復習することが望ましい。

【評価方法】

  レポートなど 50

 クラスへの貢献度 50

  ディスカッション・ケーススタディ分析への参加度

【テキスト】

未定。下記参考文献のうち数冊、または開講までに優れた日本語テキストが出版された場合にはそれを採用することもある。なお、必要な資料は随時講義中に配布する。

【参考文献】

山上達人 『環境会計の新しい展開』 白桃書房 2005

勝山進 『環境会計の理論と実態』 中央経済社 2004

企業の環境報告書(数冊)

【備考】

以上の内容はあくまでも予定であり、受講者の習熟度や希望によって変更する場合が可能であり、講義内容については相談に応じる。初心者も含めて、特にこれから環境会計を導入したり、環境報告書を作成しようとしている企業の環境関連部門、経理部門、総務部門等の方々にとって本講義が幾ばくかのお役に立てれば幸いに存じる。なお、2009年の実例としてINAX(株)、キヤノン(株)、三菱地所(株)、パナソニック(株)、その他の企業に関する環境会計システムを取り上げた。