南山大学

 
指定
期間
春学期
秋学期
単位
年次
3
担当者
浜名 優美
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題  フェルナン・ブローデル『地中海』を読む
授業概要  フェルナン・ブローデル著『地中海』を第1巻から第5巻まで数年かけて通読する。本書は16世紀の地中海世界においてキリスト教のスペイン帝国とイスラムのオスマントルコ帝国が地中海の覇権をめぐって戦いを繰り返し、最終的には1571年のレパントの海戦以後、地中海には大戦争がなくなったことを中心に、その背景となる自然環境、政治、社会、経済、文明の100年間の歴史を丹念に描いたものである。これを輪読することで、一つの地域の全体史を描くブローデルの歴史の見方と現代(現代は16世紀化していると言われる)との関係を把握することになり、ひと言でいえば、文明論を考えるうえでのヒントが豊富に見つかる。併せて、歴史研究におけるディテールと全体像との関係やヴェネツィアやスペイン帝国の衰退、オスマントルコ帝国のヨーロッパ侵入の限界の問題などについても考察する。
 環境史、政治史、経済史、人口史、数量史、戦争史、外交史、文明史のいずれにもかかわる全体史であるが、本書は世界史の知識がなくても読むことができる。
学修目標  歴史学の名著と言われる『地中海』を丹念に読むことを通して、歴史学の諸問題の発見、研究の方法上の問題を発見することと、ブローデルの全体史について理解を深めること。
授業計画 今年は、主として『地中海』第1巻第5章と第2巻第1章を読む。
1 歴史学における地理の重要性の理解のため「第I部環境の役割」を読む
2 第5章 人間の一体性 交通路と都市、都市と交通路
3 問題の発見と討論
4 レポート作成1
5 陸路と海路
6 航海積載量と経済情勢
7 問題の発見と討論
8 都市の諸機能
9 レポート作成2
10 時代の証人としての都市
11 第II部 集団の運命と全体の動き
12 第一の敵としての空間
13 人間の数
14 地中海型経済の「モデル」をつくることができるのか
15 レポート作成3
授業時間外の学習(準備学習など) 配布するテキストのコピーをあらかじめ予習しておくこと。
評価方法 毎回の発表(50%)とレポート(50%)による。

テキスト フェルナン・ブローデル著『地中海』全5巻、浜名優美訳、藤原書店(適宜必要な部分のコピーを配布)
その他