南山大学

 
指定
選必
期間
春学期
秋学期
単位
年次
1〜4
担当者
大野 波矢登
他の科目との関連
履修対象学科
副題 人工知能の哲学
授業概要 20世紀に始まったコンピュータとロボットの研究は、人間の多様な知的活動を実現する機械を次々に作り出してきた。現在では、人間とコミュニケーションを取ることのできるロボットが開発されたり、人間の脳とコンピュータとをつなぐ技術が研究されたりしている。この講義では、人間の心や認知、脳に関する科学・技術の研究者たちが、心や認知をどのようなものとしてとらえているかということを、哲学的な視点から考察していく。
学修目標 1.心、知性、そして人間に関する近代西欧の哲学者たちの見解について理解すること。
2.心や脳、ロボットなどに関する今日の科学・技術が前提している認知観や人間観を理解し、批判的視点から検討すること。
3.J.サールやH.ドレイファスといった哲学者たちのAI批判を理解し、検討すること。
授業計画 1.機械は考えることができるか、というのはどのような問いか
2.計算主義の歴史的起源(ホッブスの「思考とは、計算である」)
3.機械論的世界観と心身の区別(デカルトの物心二元論)
4.心的因果をめぐる現代哲学(論理的行動主義、心脳同一説、機能主義)
5.古典的計算主義(認知科学の認知観はどのようなものか)
6.計算、関数、アルゴリズム(「計算」とはなにか)
7.哲学的人工知能批判(1)(サールの「中国語の部屋」の思考実験)
8.志向性(志向性の正体は何か)
9.哲学的人工知能批判(2)(ドレイファスのAI批判)
10.フレーム問題(人間はフレーム問題に悩まされないというのは本当か)
11.コネクショニズム(機械の思考と脳の思考はどこが違うか)
12.表象主義再考(「表象なしの認知」の可能性)
13.心はどこにあるか(心は私の中にある、という考え方のどこに問題があるのか)
14.脳研究、ロボット技術、サイボーグ技術をめぐる倫理問題
15.物理主義と意識の問題
授業時間外の学習(準備学習など) 1.授業の際に配布する資料(レジュメではなく講読用の資料)を次回の授業までに必ず読んでおくこと。
2.授業後に復習として、哲学の専門用語を正確に理解しているかどうかを、紹介した参考文献やウェブサイトを使って確認しておくこと。
評価方法 小テスト(3回実施)が30%、学期末レポートが70%。
テキスト 特に使用しない。参考文献として、柴田正良『ロボットの心』講談社現代新書、2001年。山口裕之『認知哲学』新曜社、2009年。
その他