南山大学

 
指定
選必
期間
春学期
単位
年次
1〜4
担当者
沢登 文治
他の科目との関連
履修対象学科
副題 今日の人権問題を考える
授業概要 世界各地で近代市民革命が勃発した18世紀以降、人は生まれながらにして「人権(Human Rights)」を手にしたと言われます。そのような「近代人権」がどのようにして誕生し、どのように発展して今日に至るのか、順を追って理解しましょう。さらに、現在保障されている「人権」とはどのようなものなのか、どのような問題を抱えているのか、個別の人権について、一つずつ検証をしていきます。
学修目標 この講義の学修目標は、大きくつぎの2つです。
(1) 「人権」概念と内容の基本的な発展の経緯の理解:なぜ、「人権宣言」や「権利章典」など、18世紀に人権は文書化されたのか。闘い勝ち取られた「人権」と言われる意味を理解しましょう。
(2) 今日、日本で、アメリカで、フランスで、さらに全世界で保障されている「人権」の内容:一市民として国民として、わたしたちそれぞれが持っている「人権」とはどのようなものなのか、知らずに過ごせるはずはありません。それを確認しましょう。さらに一歩踏み込んで、そのような「人権」について、今日、どのような問題や課題が提起されているのか、考えていきましょう。
授業計画 1.授業の開始:全体構想の説明と授業準備=受講上の注意(ガイダンス)、成績評価の方法について確認、授業への取り組みについてなど。
2.「特権」から「人権」へ:近代市民革命前から革命後の近代に歴史が展開したことの意味を探ってみましょう。
3.裁判を受ける権利:日本でも始まった「裁判員裁判」は、実は大昔からヨーロッパ諸国ではありました。それがなぜ存在するようになり、またそれはどのような形態だったのでしょうか。
4.イギリスやアメリカの裁判:陪審裁判で有名なイギリスやアメリカの裁判制度が、どのようにして誕生し、どのような役割を果たしたのでしょうか。
5.被疑者・被告人の権利:人権の誕生と発展は、裁判の誕生と発展、つまり、裁判で裁かれる被告人の権利の誕生と発展と並行しています。それにはどのようなものがあり、今ではどのように考えられているのでしょうか。
6.受刑者の権利:裁判で裁かれてから、刑務所に入った元被告人(罪を犯したと認定された人)は、どのように扱われ、また、どのように扱われるべきなのでしょうか。
7.中間テスト実施(上記1.〜6.までの範囲で、記号式および記述式テストを行います)
8.外国人の人権:これまでの裁判や犯罪に関係する人権とはがらりと変わり、より今日的な身近に感じられるような人権の話として、「外国人の人権」では、日本にいる外国人の人権状況を確認し、どのような問題があるのか、考えましょう。
9.女性の人権(1):男女平等の権利が憲法でも保障されるようになってから60年余りたちましたが、どのようにして「男女平等」が勝ち取られたのでしょうか。初回の(1)では、その歴史的な経緯を確認しましょう。
10.女性の人権(2):法律を作らなければ男女は平等に扱われないのでしょうか。今日の、男女平等に関連する法律や社会現象、課題を探りましょう。
11.自己決定権(1):自己決定権とはどのような内容を持つものでしょうか。
12.自己決定権(2):現在問題になっている、自己決定権とはどのようなものでしょうか。
13.表現の自由(1):近代人権で中心的なものが、表現の自由です。どのようなものが表現の自由だったのでしょうか。
14.表現の自由(2):今日、私たちが物事を見聞きするのは主に報道によってです。その報道と、表現の自由とは、どのような関係があるのでしょうか。また、報道の自由が有する「民主主義的機能」は、人々を苦しめることもあります。その具体的な事例などを確認しながら、それが抱える課題を考えます。
15.総まとめ:全体の復習を行います。
授業時間外の学習(準備学習など) 図書館「指定図書棚」に何冊もの関連書籍が配架されています。上記、各回の授業テーマに適合するものが「レジメ集」の各回最後の「参考文献」に掲げられていますから、それらを手にとって準備学習をしてください。
評価方法 定期試験が80%(80点)、授業時間中に実施する中間テストが20%(20点)、これらを合計して評価します。
テキスト 初回に、自作の「レジメ集」を(無料で)配付します。
参考図書として、『テキストブック 現代の人権』(図書館に蔵書あり)
その他 中間テストは、第7週の授業時間中に行います。