南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
2〜4
担当者
辻本 裕成
他の科目との関連
他学科履修
副題 平安時代文学のにない手・女房をめぐって
授業概要 王朝女流文学の担い手であったのは女房であった。王朝女流文学の代表的作品である『源氏物語』『枕草子』『讃岐内侍日記』『とはずがたり』は皆女房経験者によって書かれたものである。女房は、単に貴人の側に仕えるだけではなく、特殊な職能を果たす者がいた。この講義ではそのような女房達に焦点を当てたい。
学修目標 1 いくつかの古典作品をある切り口から並べて読んでみるとどのようなことが見えてくるか、考える。
2 主従関係というものは原則的には現代には存在しなくなったものであるが、そのようなものがあった時代に、女房の立場にあって主人に仕えた女性が、どのような立場に置かれ、何を思ったのかを考える。
3 古典文学を専門にやろうという人には古典文学研究の入門として授業を受けてもらう。専門にするつもりがない人には古典文学が面白いものであることをわかってもらう。
授業計画 1.プロローグ 問題点の所在 現代的な問題とのかかわり
2〜5.乳母(めのと)の役割と王朝文学・・・皇族貴族たちは、母親によって育児されることは極めて稀で、多くの場合は乳母によって養育された。吉海直人氏の研究などに従いながら、『源氏物語』ほかの作品に現れる乳母の役割を考える。
6〜7.召人の役割と王朝文学・・・貴族達は、自分あるいは自分と関係の深い女性に仕える女房と男女の関係を持っている場合がしばしばであった。このように、主筋の男性と恒常的で半ば公然な男女関係を結んでいた女房を召人と呼ぶ。その姿を『源氏物語』他の作品から読み取る。.
8〜11.女房日記としての日記作品・・・王朝文学の作品の多くは女房経験者によって書かれたが、作者がたまたま女房であったということではなく、作者がその女房としての職能と不可分に結びついてその作品を書いている場合がある。『紫式部日記』『枕草子』などがその代表である。これらの作品を論じる。
12〜15.女流日記文学を読む・・・『讃岐内侍目記』『とはずがたり』を読む。この両作品の作者は、それぞれ、堀河院、後深草院に仕えた女房であったが、両人とも乳母、召人と関わる人生を送っている。この二つの作品を読む。

諸事情により、上記の予定はずれる可能性がある。
授業時間外の学習(準備学習など) 授業後にはノート・プリントなどを読み返し、どのような話があったのか振り返っておくこと。2回以上連続の話題の授業の前には、前回の話の内容を授業に先立って復習しておくこと。
評価方法 試験が50%、授業中の提出物が50%
テキスト プリントを配布する。
その他