南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
3・4
担当者
MUNSI Roger Vanzila
他の科目との関連
他学科履修
副題
授業概要  本講義では、フランス外交政策の現状と問題について政治人類学の基本概念から論じる。具体的には本講義はアフリカ諸国におけるフランス政府の影響力の強い地域に限定し、フランス外交政策におけるフランサフリックとフランコフォニーなどの位置付けを明確化することを目標とする。そこで、本講義は三部に分ける。第一部はアフリカ諸国とヨーロッパ諸国の関係を取り上げ、その深刻な問題を検討する。この課題は多岐にわたっており、アフリカ地域に見られる固有の特徴、各国の固有文化、首長制社会、民族集団、植民地文化、ポスト・コロニアル文化、などに関して、フォーマルなもの、インフォーマルなものを問わず、幅ひろく紹介しながらその核心に迫る。その過程で、フランス語とともに歩んできた無数のアフリカ諸国の文化と、フランス語との間に隠然と存在する複雑なラポール(調和関係)が見えてくるに違いない。それが議論のポイントとなる。第二部は、21世紀のフランス外交政策の特徴を概観する。ここで、まずフランス外交の戦後半世紀を概説し、現代のアフリカ地域に見られるフランス外交政策の特色を検討する。その情況分析をとおして、次にフランサフリックの一般定義・目的などを述べ、現在、フランスはどんな方法(戦略)でアフリカ諸国の社会風土と、政治文化を裏から支配しているかを具体的に説明する。また、グローバル化に伴う課題を注視し、フランコフォニーという組織の成立と展望を明確化する。第三部は、フランス政治外交の教育援助政策の現状と課題を取り上げる。特にフランス語圏アフリカの歴史的、政治的、社会・文化的側面におけるフランス語の影響を考察する。そして、今なお続くその影響力の正体を、地域的・世界的システムの枠組みとの関連に照らし合わせて掘り下げていき、最後にいささかの試論を述べたい。本講義中で各課題に関する証拠を挙げて論拠を固める。
学修目標 本講義を通じて、受講生諸君はフランス語圏アフリカの歴史的背景に関する教養をはぐくむとともに、当該諸国においてフランス文化、フランス文学の占めるポジションについての見識を深める。本講義はフランス語、フランス語圏の文化および文学の学習を包含するものであり、講義の回を重ねながら、次に記した能力、素養に磨きをかける。(1)シャープでクリティカルな思考回路、(2)口頭、文章による分析スキル、(3)世界情勢の比較考察、(4)クロス・カルチャーという概念への覚醒、および多種多様な人種と協調して行動をともにする能力。(5)多角的・総合的知識(アフリカにおける仏語圏文化が交差する膨大な事柄に関する一般教養)を学び、受講生諸君のアフリカに対するイメージは根本的に変化し、世界観も大きく変わるであろう。
授業計画 1.オリエンテーション−基本的な概念、フランスのアフリカ外交研究への知的関心
 第一部 アフリカ諸国とヨーロッパ諸国の関係−回顧と展望
2.アフリカ諸国の歴史・社会風土・政治文化の概説
3.アフリカ諸国における植民地主義の抑止戦略
4.アフリカ諸国における新植民地主義の抑止戦略
5.アフリカ諸国における危機(内戦・紛争・クーデターなど)とヨーロッパ諸国(フランス)との関係
 第二部 21世紀のフランス外交政策の分析
6.フランス外交の戦後半世紀の概説
7.フランサフリックの定義・観念と裏の意味
8.フランサフリックに抵抗するアフリカ諸国の社会
9.フランコフォニー組織の現状とグローバル化に伴う課題
10.フランコフォニーに反抗するアフリカ諸国の社会
 第三部 フランス政治外交の教育援助政策の現状と課題
11.フランス政治外交における教育援助政策の概説
12.現代アフリカ諸国の学校と社会風土におけるフランス語・文化の影響
13.グローバル・カルチャーの潮流におけるフランス語圏アフリカの重要性−その理論的根拠
14.21世紀のフランス外交政策とアフリカ諸国の未来−発展はアフリカ諸国の最大の願い
15.総括討論:フランスのアフリカ外交研究を続ける方法
授業時間外の学習(準備学習など) ・授業の前準備として、学習が必要な場合は、そのためのテキスト、または資料を、前回に配付するからよく読んでおくこと。
・DVDなど映像を使用する場合は、その都度事前に予告する。
評価方法 授業参加度 20%、期末レポート 80%の比重をもって査定する。
テキスト 特に指定しない。必要に応じ参考文献、民族誌、比較資料などは、その都度用意する。
その他