南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
3・4
担当者
櫻井 健吾
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題 産業革命(産業化)と産業社会の成立
授業概要 現代世界は動態的な産業社会だと言われる。この産業社会がいつの時代のどの地域に、どのように成立したのか、それを解明することによって現代の産業社会の特徴は何か、われわれはどのような社会に生きているのかを明らかにすることができる。そうすれば、過去の歴史研究が現代の理解にいかに必要か、現代の理解にいかに役立つか、理解できるであろう。
講義では、第1編で経済史の一般論を述べた後、特殊な個別分野として人口を取り上げる。人口と経済のあり方を解明することによって、両者の関連が歴史的にどう変遷したか、現代世界がいかに特殊な歴史的条件の上に成立しているかを認識することができる。
学修目標 以下の点を理解することがこの講義の目標である。
1.人類史における産業革命の画期性
2.現代の産業社会の理解に不可欠な力としての産業革命の論理
3.前産業化時代の論理としてのマルサス的悪循環
4.産業社会に固有な流動性
5.人類史における未曾有の出来事としての人口転換
6.現代経済の理解にも歴史的研究が必要なこと
授業計画 講義は以下の目次に従って進められる。
序章 全体の構成と経済史を学ぶ意義(第1回)
第1編 近代経済史への序説
 1.産業革命の人類史的位置:チポラの「人類史における二つの革命論」を中心に(第2回)
 2.概念上の諸問題:(1)経済成長、(2)産業化、(3)産業革命、(4)資本主義(第3回)
 3.産業革命の悲観論と楽観論(第4回)
 4.ロストウの「離陸論」とガーシェンクロンの「比較後進性」の仮説(第5回)
第2編 人口と産業化
 1.前産業化時代の人口:マルサス的悪循環の世界(800−1800年)(第6・7回)
 2.産業化時代の人口:マルサス的悪循環の打破と人口爆発(1750−1914年)(第8・9回)
 3.ドイツの過剰人口、大衆窮乏化、産業化:過渡期の経済と人口(1800−1850年)(第10・11回)
 4.ドイツの産業化、国内人口移動、都市化:水平的・垂直的流動性(1850−1914年)(第12・13回)
 5.ドイツの人口転換:農業的人口様式から産業的人口様式へ(1800−2000年)(第14・15回)
授業時間外の学習(準備学習など) 授業の最初に配布する予定表に従って、毎回の予習(テキストの該当箇所)と復習を行うこと。レポートは出席を取る際に提出させる。
評価方法 筆記試験(80%)と授業参加度(20%)
テキスト 毎週のプリントと『近代ドイツの人口と経済』ミネルヴァ書房。
その他 毎週プリントを配布するため、講義には遅れないこと。