南山大学

 
指定
期間
春学期
秋学期
単位
年次
2〜4
担当者
薫 祥哲
他の科目との関連  
他学科履修
副題
授業概要  大気や水質汚染、生態系の破壊、そして資源の枯渇問題など、さまざまな環境問題が議論される中で、私たちはどのようにこれらの資源を利用すれば良いのでしょうか。環境は保護すべきだと主張するのは簡単ですが、この環境保全にはコストがかかります。コストに対して、どのような環境保全のメリットが発生するのかを考え、「費用対効果」の視点から環境政策を考える必要があるでしょう。この授業では、環境資源の最適な利用方法を皆さんといっしょに考えて行きます。また、環境資源管理に関する政策手段とその効率性、そして環境改善がもたらす経済的便益を検討します。例えば、「環境はどこまできれいにされるべきか」、「今の世代が枯渇資源を使い切ってしまうのは、将来世代に対して不公平か」、「漁業資源はどの程度までなら収穫しても良いのか」、そして「廃棄物のリサイクル率はどこまで高めるべきか」といった問いに対する答えを、理論的に考えることになります。環境資源管理と政策の必要性は、多くの場合、これら資源の所有者が明確に定められていない事と、生産活動に伴う廃棄物が環境を汚染するといった現象に起因しています。実際の環境資源管理を決めていく上で、経済理論及び費用便益分析がなしうる役割とその限界について議論していきます。
 「経営環境論A」では理論的な概念を中心に講義します。一方、「経営環境論B」では米国の環境法規制の事例、特に「大気浄化法」と「水浄化法」を取り上げ、実際の法規制がどのように行われているのかを学習します。そこでは、経済理論と実際の行政政策との間にどのようなギャップが生じているのかを学んでもらいます。
学修目標  何ごとにも費用と便益が発生し、これらを比較検討してはじめて最適な政策が決定できることの重要性を理解する。
授業計画  経営環境論Aでは以下のようなトピックスを扱う。
1)イントロダクション、環境問題への経済学的アプローチ
2)資源配分の静学的効率性
3)汚染物による外部不経済効果
4)枯渇資源の配分と動学的効率性
5)世代間における資源配分ルールと割引率
6)共有資源の最適利用
7)公共財としての環境
8)コースの定理
9)環境便益の非市場評価法
10)統計的生命の価値
11)汚染物規制と最適汚染物量
12)汚染物規制手段:排出量基準の設定
13)汚染物規制手段:環境税としての課徴金
14)汚染物規制手段:売買可能な排出許可証
15)春学期のまとめ

 経営環境論Bでは以下のようなトピックスを扱う。
1)イントロダクション、生産と無料廃棄の問題
2)再生産可能資源の効率的利用(漁業資源)1
3)再生産可能資源の効率的利用(漁業資源)2
4)再生産可能資源の効率的利用(漁業資源)3
5)リサイクル可能資源の最適リサイクル率1
6)リサイクル可能資源の最適リサイクル率2
7)米国における大気浄化法(Clean Air Act)1
8)米国における大気浄化法(Clean Air Act)2
9)米国における大気浄化法(Clean Air Act)3
10)米国における水浄化法(Clean Water Act)1
11)米国における水浄化法(Clean Water Act)2
12)米国における水浄化法(Clean Water Act)3
13)米国環境政策の費用対効果分析1
14)米国環境政策の費用対効果分析2
15)秋学期のまとめ
授業時間外の学習(準備学習など) 授業では、毎回、講義についてのレジメ資料を配布するので、レジメを読み込んで授業内容を復習すること。
評価方法 定期試験(100%)
テキスト ・T. H. Tietenberg, 2006, Environmental and Natural Resource Economics, seventh edition, Pearson, Inc.,
 New York.
・[参考図書] C. D. Kolstad(細江守紀、藤田敏之監訳)『環境経済学入門』有斐閣、2001年。
その他