南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
1・2
担当者
加藤 隆浩
講義題目
開講キャンパス
授業概要 ラテンアメリカ文化は、その歴史が示すとおり、様々な構成要素から成り立っている。先住民文化、征服者たちのヨーロッパ文化、アフリカ系の黒人文化、19世紀以降影響力を持ちはじめるアジアやヨーロッパ系の移民文化、さらには、近代国家・国民国家の成立や構築と密接に結びつく国民文化などである。しかしそこに見られる各文化は、常に調和的に共存しているとは限らない。それらは、社会や政治、経済などの変化に反応し、自らの文化と他の文化との関係を調整しようとする。本講義では、まず個別の文化を集中的に調べあげるとともに、それと隣接する他の文化との諸関係を文化人類学的に探求する。
学修目標 ラテンアメリカの文化の特質を学ぶ。
授業計画 ラテンアメリカ文化に接近しようとすると、時間という枠組みを超越した視座がしばしば要求される。たとえば、現代の民衆文化を分析しはじめるや否や、その文化の中に植民地時代さらには先史時代の要素が混在していることに気づき、その理解なしには充分か分析ができないことが分かる。事情は、先コロンブス期の文化を探究する場合も同じこと。照準を合わせ、問題としようとする先史時代の文化と現代文化との間には明白な歴史的連続性が見て取れ、後者の理解が前者の分析に役立つことが少なくないのである。
そこで、本講義では、ラテンアメリカ文化への接近法として、文化人類学がこれまでに培ってきた3つの方法論──先史学・エスノヒストリー・民族学──を援用しながら、具体的問題を取りあげ、それを考察する。そして、その作業を通じて受講生は各方法論の基礎を習得する。

本講義で問い扱う主なテーマは以下の通り。
1−3.先コロンブス期のマヤ・アステカ・チブチャ・インカ・高文化周辺地域の文化研究の回顧と展望
4−6.植民地時代における先住民社会の変貌に関する最近の研究動向
7−11.ラテンアメリカにおける移民研究の最新のトピック
11−14.ラテンアメリカにおける国民文化の形成・エスニシティ・グローバル化に由来する諸問題
15.まとめ

日本語で読める文献はまだ多くはないので、受講生は欧文で書かれた大量の文献を読むことになる。これを機に欧文の文献の読解に慣れてほしいと考える。ただし、この講義の目的は、文献を読みこなすことではなく、与えられたテーマに関して考察を深めることである。したがって、講義の中で展開される議論への積極的参加が望まれる。
授業時間外の学習(準備学習など) 教員の指示を待つことなく自主的に研究にとり組むこと。
評価方法 学期末試験で評価する。
テキスト 講義のなかで指示する。
その他