南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
1・2
担当者
濱田 琢司
講義題目
開講キャンパス
授業概要  近年、モノについての新しいタイプの研究が盛んである。そこでは、モノそれ自体の類型や機能などに注目する旧来の物質文化研究とは異なり、商品や美術品など、様々なモノを巡って、その意味づけやイメージの形成、社会的・文化的な諸事象との関わりなどが議論されている。本講義では、こうした新しい物質文化研究を踏まえ、近現代以降の日本での状況、特に東海地方の陶磁器ほかの諸工芸に対する社会的・文化的意義づけの変遷を、民芸運動という文化運動との関わりなどの具体的な事例を交えて、検討する。
学修目標  私たちの身近に存在する様々なモノにも、それぞれに多様な価値や社会的意味が付与されている。第一には、日本における事例から、そうした価値や意味づけの一つの状況を知り、第二に、さらにその構造を理解することで、他の文化事象にも援用可能な視点の獲得を目指す。
 講義は、受講者とのディスカッションを交えた講義形式で行うが、その過程で、講義内容についての正確な知識とそれに基づいた個別の意見とを獲得できるようにする。
授業計画 第1回:はじめに:モノの価値付け
第2回:「芸術=文化システム」の構成(1)
第3回:「芸術=文化システム」の構成(2)
第4回:「芸術=文化システム」の構成(3)
第5回:近現代日本の工芸生産および消費の概要
第6回:工芸の価値づけ(1):民芸運動の発生
第7回:工芸の価値づけ(2):民芸運動の特色
第8回:工芸の価値づけ(3):民芸運動の影響
第9回:工芸の価値づけ(4):無形文化財(人間国宝)制度の発生
第10回:工芸の価値づけ(5):無形文化財(人間国宝)制度の影響
第11回:東海地方の陶磁器生産の概況
第12回:東海地方の陶磁器の生産と消費(1)
第13回:東海地方の陶磁器の生産と消費(2)
第14回:文化的消費とモノの価値、および生産者への影響
第15回:まとめ
授業時間外の学習(準備学習など) 下記の掲示した参考文献について、事前に目を通し、その他、講義中に適宜指示した文献についても、きちんと読み込んでおくこと。
評価方法 総合評価(授業参加度・提出物・質疑応答40%、レポート60%)
テキスト 【テキスト】
 特になし。

【参考文献】
 クリフォード、ジェイムズ『文化の窮状─二十世紀の民族誌、文学、芸術─』人文書院、2003年
 濱田琢司『民芸運動と地域文化』思文閣出版、2006年
 Appadurai,A.(ed.), The social life of things, Cambrige Univ. Press, 1986.
その他 講義の他に、瀬戸の製陶所ほかの視察など、数回のエクスカーションを実施する。