南山大学

 

【科目コード】97661

【科目名称】国際人事管理(東アジアでの実践と課題)

【担当者】

【単位数】2                    【配当年次】12    【開講期】春学期

 

【授業概要】

本科目は、生産現場に焦点をあて、日本的なヒューマン・リソース・マネジメントの海外移転のための実践的能力を深化させることを目的としている。

トヨタ自動車を事例として、先ず、その生産現場における高いパフォーマンスと生産労働者のモチベーションを実現するヒューマン・リソース・マネジメントシステムを明らかにする。次に、タイ生産拠点における人事労務管理の実務を事例に、そうしたマネジメントシステムの移転プロセスを解析する。その上で、主要国における文化・社会慣習との融合を含む日本的ヒューマン・リソース・マネジメントの実践にむけた課題を抽出し、併せて課題解決にむけた道筋を提示する。

【到達目標】

日本的ヒューマン・リソース・マネジメントシステムの海外での実践に際して、とるべきスタンスと実践に向けた課題解決能力を身につける。

【授業計画】

第1ユニット − 日本的人事管理の基本 −

(第1回) 人事管理似関わる経営理念の共有、経営行動準則の徹底 

          基本理念1992

       トヨタウエー2001

(第2回)— ディスカッション

テーマ: 事業のグローバル化を考える際に理念あるいは行動準則まで用意する必要はあるのだろうか。

(第3回) 日本的人事管理の形成過程と日本的人事管理の基本的枠組み

高度成長   :年功人事、長期雇用

安定成長   :能力重視、安定雇用

グローバル化 :成果重視、雇用流動化

(第4回) 労使関係の基本的枠組み 

労使関係と労資関係

(第5回)— ディスカッション

          テーマ: 「労資関係」が正当化される条件

第2ユニット — タイにおける人事・労務管理の実践 —

(第1〜2回)上座仏教に規程されたタイ人の意識と社会風土

                    タイ現地事業体での日本的人事・労務管理の事例研究

(第3〜4回)生産現場の近代化にむけた取組み    

第3ユニット — インドネシアにおける人事・労務管理の実践 —

(第1回) ジャワの意識と社会風土

(第2回) ジャワ現地事業での日本的人事・労務管理の事例研究

第4ユニット — 中国における人事・労務管理の実践 —

(第1回) 工会(Trade Union)の苦悩 — 「労使関係」は中国に根付くのか —

(第2回) 中国現地事業での日本的人事・労務管理の事例研究

第5ユニット  — 東アジアにおける労使紛争 —

(第1回) カデラ(インドネシア)争議

(第2回) トヨタフィリッピンの苦悩

 

【授業時間外の学習(準備学習など)】

テキスト及び必要資料を事前に配布または指定するので、予め精読し問題意識を絞り込んで授業に参加すること。

【評価方法】

   5回程度、各ユニット毎に応用演習の機会を設け「考え抜く力」を確認評価する

応用演習レポートと試験に代わるレポートにて評価。

(応用演習当日業務等で出席できない場合にも、演習課題に関わるレポートを提出すること)

   配点:(応用演習課題レポート内容5点 + 発言など参加態度5点) )×5回

        試験に代わるレポート50点

【テキスト】

    『トヨタ労使マネジメントの輸出』ミネルヴァ書房、2005年

   その他、授業の都度必要な資料をレジメとして配布

【参考文献】

   必要に応じて最新の文献を指示

【備考】

受講者の研究課題、関心の所在および理解度に即して、授業の進度ならびに各項目への重点配分等については、柔軟に調整見直しを行う。