南山大学

 

Ⅰ.授業の概要

①講義科目名(単位数)

商法(商取引法)(2単位)

②担当者名

今泉 邦子

③科目の種類

法律基本科目・民事系

④必須の有無

必修

⑤配当学年・学期

1年(既修者コース:免除)・秋学期

⑥授業の概要

本科目の範囲は、商法典および手形法小切手法の定める有価証券の成立、移転および消滅に関する法ならびに商行為法が定めるある種の営業に特殊な法原則に及びます。法学未修者向けにレクチャー形式で実施する予定ですが、履修者は与えられた課題を事前に理解していることが期待されます。

授業の際には、講師と履修者との問答を通して(ソクラテス・メソッド)、重要判例および学説への理解を確認します。

⑦到達目標

本講義は、有価証券法、商法総則商行為法および会社法総論の理論的構造を理解し、問題解決に必要な法的分析および論述能力の育成を目指しています。民法の定める債権に比べて、有価証券は流通性が促進されているが、その流通性を促進させるための各種仕組みを理解することが目標です。商法総則商行為法の分野においては、企業(商人)の意味、企業活動に用いられる特殊な制度、各種企業取引について理解することが目標です。授業に臨む際には、学生は指定されている課題を読み、各自の疑問点を明確にしておくことを勧めます。

⑧成績評価の基準と方法

期末試験(70%)小テスト(25%)および授業参加態度(5%)。

⑨教科書

弥永真生『リーガルマインド商法総則・商行為法』(有斐閣、第2版)

田邊光政『最新手形法小切手法』(中央経済社、5訂版

⑩参考文献・参考資料

江頭憲治郎、山下友信編『別冊ジュリスト商法(総則・商行為)判例百選』(有斐閣、第5版)

鴻常夫ほか編『別冊ジュリスト手形小切手判例百選』(有斐閣、第6版)

江頭憲治郎『商取引法』(弘文堂、5

弥永真生『リーガルマインド手形法・小切手法』(有斐閣、第2版補訂版)

⑪履修条件その他の事項

特になし

 

Ⅱ.授業計画

担当

①テーマ

授業内の学修活動

④授業時間外の学修活動等

②ねらい・内容

③授業方法・工夫

手形法小切手法総論

 

手形行為の成立要件と有効要件

手形小切手の流通の仕組みとそれを促進するために考えられた手形小切手の性質(文言性、要式証券性、無因性など)および抗弁切断、善意取得、遡求、善意支払などの各種流通促進制度の概略を解説検討します。

 

手形に関する法律関係を発生変動させる法律行為である手形行為と法律行為一般の成立要件および有効要件との関係、ならびに手形が作成された後、受取人に到達しなかった場合の手形の効力の問題について解説検討します。

講義方式によって教科書の理解を確認すると共に、設問によって応用力を養います。

Backgroundとして、田邊『手形法小切手法総論』(以下、田邊とする。)2-34頁を予習してください。

 

田邊35-78頁を予習してください。

手形行為の成立要件と有効要件

1回のつづき

 

時間があれば、第3回のテーマに進みます。

同上

田邊35-78頁を予習してください。

裏書・善意取得

手形債権に特殊な譲渡方法である譲渡裏書および手形の譲渡裏書が実質的に不連続であった場合の善意の取得者保護のための制度の問題点を指摘し、学説判例について解説検討します。

同上

田邊106-138頁を予習してください。

手形抗弁

手形取引の原因となった取引が無効または取り消された場合に、その取消無効の主張を制限し、第三者を保護するための重要な制度である人的抗弁切断制度の意義および問題点について解説検討します。

同上

田邊139-164頁を予習してください。

手形抗弁

第4回のつづき

 

時間があれば、第6回に進みます。

同上

田邊139-164頁を予習してください。

特殊な裏書

手形の譲渡以外の目的で行われる特殊な裏書(取立委任裏書、質入裏書)について問題点を指摘し、学説判例を解説検討します。

同上

田邊165-180頁を予習してください。

白地手形

当事者の合意により手形要件の一部が未補充である手形の意義および問題点について解説検討します。

同上

田邊332-358頁を予習してください。

白地手形

 

商行為および商人

第7回のつづき

 

商法の意義、ならびに商法の適用範囲を決定する基準となる商行為および商人概念について、その特色および問題点に関する学説判例を解説検討します。

同上

田邊332-358頁を予習してください。

 

弥永『商法総則商行為法』(以下、弥永とする)1-16,17-22,85-104,119-128頁を予習してください。

商行為および商人

手形法小切手法小テスト

 

8回目および9回目の授業は範囲が広いので、10回目の授業でも、商行為のテーマを扱うことになるでしょう。

同上

弥永1-16,17-22,85-104,119-128頁を予習してください。

10

商行為および商人

第8回のつづき

同上

弥永1-16,17-22,85-104,119-128頁を予習してください。

11

商行為および商人

商人に関する重要事項を記載する商業登記制度の趣旨およびその問題点に関する学説判例を解説検討します。

同上

弥永23-31頁を予習してください。

12

商業登記

商人に関する重要事項を記載する商業登記制度の趣旨およびその問題点に関する学説判例を解説検討します。

同上

弥永23-31頁を予習してください。

13

商号

商人の名称である商号とそれに対する保護制度について問題点を指摘し学説判例を解説検討します。

 

時間に余裕があれば、第13回の授業の範囲の商業使用人に進みます。

同上

弥永33-45頁を予習してください。

14

商業使用人・代理商

商人の活動を内部から補助する商業使用人および商人から独立して外部から補助する代理商について、その機能と問題点を指摘し、学説判例を解説検討します。

同上

弥永67-84頁を予習してください。

15

商業使用人・代理商

14回のつづき

同上

弥永67-84頁を予習してください。