南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
1〜4
担当者
成田 靖子
他の科目との関連
履修対象学科
副題  健康と関わりのある化学物質
授業概要  化学物質というと何を思い浮かべるだろうか。ある人は人体を構成する分子、生命を維持するのに必要な栄養素、病気の時に飲む医薬品などを考え、別の人は農薬、環境ホルモン、発ガン物質など人体に悪影響を与える化学物質を思い浮かべる。我々が見聞きする化学物質に対する情報はおおかた否定的なものである。これらの情報を自分で判断することなく、鵜呑みにして信じている人々は多い。これらの情報は本当に正しいのだろうか。そこでこの科目では化学物質に関する諸説を科学的に考察する。
学修目標  からだに入ってくる化学物質が、どのような構造をもち、どのようにからだに作用するのかを理解し、化学物質がからだに与える影響をよい面、悪い面の両側から科学的に検証する力を育てることを目標とする。
授業計画 今年度は「なぜ化学物質が嫌われるのか」をテーマとして授業を進める。指定教科書を解説しながら授業を進める。
ビジュアル教材を織り込み講義の理解を深める助けとする。そのほかホットニュースを取り挙げることもある。
1〜2  化学物質のリスクと向き合う
      単純な理論には罠がある リスクの許容ライン リスクゼロは幻想である 「合成品=悪い」は正しいか
3    環境問題(1) ダイオキシン
           ダイオキシン事故の実際 本当に史上最大の毒物であるのか 発ガン性をめぐる議論
4    環境問題(2) バイオエタノール
           石油時代の終焉 次世代エネルギーの条件 バイオエタノールの問題点
5    食品不安(1) 食品添加物 
           合成着色料、甘味料、保存料、殺菌料はからだに害を与える物質なのか
6    食品不安(2) 謎の病原体 BSE(狂牛病)発症のプリオン説
7    食品不安(3) 中国食品の不安 毒餃子事件の報道とその後
8    健康食品(1) アミノ酸とコラーゲン
           アミノ酸飲料は何を燃焼するというのか?
           化粧品・食品としてのコラーゲン コラーゲンを食べる意味はあるのか?
9    健康食品(2) 活性酸素とポリフェノール 
           活性酸素とは何か 活性酸素は生命にとって有害である ポリフェノールの持つ抗酸化作用       
10    医薬品(1) チンパンジーも薬を使う
11    医薬品(2) 医薬品の歴史 医薬品の効くしくみ 薬と毒は紙一重 薬剤の形態別吸収され方の違い
12    医薬品(3) 薬害事件 つわり止めサリドマイド薬害 胃腸薬キノホルム薬害
13    医薬品(4) 抗生物質の危機 耐性菌の登場 抗生物質が効かない!
14〜15  医薬品(5) 抗インフルエンザ薬タミフル 
          インフルエンザウイルスの構造と性質 タミフルが効くしくみ
授業時間外の学習(準備学習など) 1 授業のはじめに前回の復習をするので、前回勉強したところを勉強しておくこと(指名して質問することもある)。
2 授業計画を参考にして次回習うところの教科書を予習しておくこと。
評価方法 筆記試験100% 授業理解度を知るために授業中に小レポートを課すこともある。
テキスト 佐藤健太郎著 『化学物質はなぜ嫌われるのか』2008 技術評論社 1580円
その他 座席指定とする(前列希望者を募る)。