南山大学

 
指定
期間
春学期
秋学期
単位
年次
3
担当者
鶴見 哲也
他の科目との関連 環境経済学、生命と環境(経済と環境問題)
他学科履修 不可
副題
授業概要  著しい経済成長を続ける中国の最近の動向に代表されるが、世界経済に占める一国の経済的役割の増大は、同時に地球温暖化といった国際協調を必要とする問題への取り組み責任を増大させる。また、大気汚染といった地域的な環境汚染への取り組み責任をも増大させる。10年前と比較すると、中国政府の環境政策への取り組み姿勢に変化が見られていることは明らかであろう。
 一般に、ある国における経済発展と環境の関係性は次のように説明される。すなわち、経済発展の初期段階では経済成長のみに重きが置かれがちで汚染水準は増大する傾向にあるものの、経済発展のある段階を超えると環境改善への意識が高まり、その結果、環境規制が厳しくなる、環境技術が開発されるあるいは他国から導入される、などが起こり、環境改善がおきる、という説明である。この環境改善への取り組み・意識の高まりはどこから来るのであろうか。
 本プロジェクト研究では上記の議論を出発点として学生の興味に応じてテーマを柔軟に決めていきたい。具体的には、「環境意識の決定要因」、「生活満足度指標(幸福感の指標)と経済指標・環境水準の関係生」、「経済に悪影響を及ぼさない環境政策のあり方」、「経済発展と環境破壊の関係性」、「経済のグローバル化が経済および環境に及ぼす影響」などが例である。
学修目標  本プロジェクト研究では最終的に多くの場合、データを用いた統計分析を用いることになると考えられる。統計分析の強みは、何らかの議論に対して「統計的裏付け」という根拠を示すことができる点である。相手を説得する際に何らかの根拠(証拠)を示すということは企業に就職した際にも重要なこととなろう。
 しかし、データを用いた量的研究は議論が抽象的になりがちという欠点を持つ。大事なことは、抽象的な話になりがちなテーマであっても、具体例を示しながら、身近な話題に感じさせられるように、一般の人にも伝わるようにその推計結果の説明を行えるようになることである。そのためには普段から新聞記事や一般書などに触れ、アンテナを幅広くめぐらせ、できる限り具体的な事象とのリンクを形成しておくことが大事である。また、最新の国際機関の報告書の内容を把握することで、最終的には環境問題を「語る」ことができるようになってほしい。
授業計画 【春学期】
基礎知識の習得を行う。具体的には「統計分析手法」と「環境経済学」を学ぶ。また、最新の「国際機関の報告書」の内容を把握していく。
「統計分析手法」:
環境データを用いた分析を実際に行う。分析には統計ソフトを用いる。このプロセスを通して統計ソフトの基本的な使い方の習得を目指す。
「環境経済学」:
環境経済学の基本書を用いて、章ごとに担当者を決め、他の学生に章の内容を報告する。このプロセスを通して基礎知識の習得を行うとともに他人に分かりやすく発表するコツを学んでほしい。
「国際機関の報告書」:
地球温暖化に関する報告書(IPCCの報告書など)、エネルギー政策に関する報告書(World Energy Outlookなど)、森林破壊・劣化に関する報告書(Global Forest Resource Assessmentなど)を対象とする。担当者を決め他の学生に内容を報告し、最新のトピックの把握に努める。
1.オリエンテーション
2〜15.基礎的知識の習得
【秋学期】
 自分の興味のあるテーマに関連する先行研究を探し、その内容を他の学生に説明する。このプロセスを通してテーマを絞り込んでいく。
1.各自のテーマを暫定的に決める
2〜15.関連先行研究の発表と内容に関する議論
授業時間外の学習(準備学習など)  以下の文献にあらかじめ目を通しておくことが望ましい。
「統計学から始める計量経済学」(有斐閣ブックス)
『環境経済学をつかむ』(有斐閣)
評価方法 発表が30%、討論が30%、レポートが40%
テキスト 随時紹介していく。
その他 前提知識は問わない。ただし、統計学の基礎知識があることが望ましい。