南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
2〜
担当者
宮川 佳三
他の科目との関連 「地域文明論J」(アメリカ)
他学科履修
副題 世界システムとアメリカ外交:20世紀アメリカ帝国の形成と崩壊
授業概要  20世紀末から21世紀初めの約10年の世界の激動は、国際政治・経済の環境の大きな変化をもたらした。この大変化からアメリカも自由ではなかった。冷戦終焉はアメリカ外交の成功とは単純に言いかねる。「唯一の超大国」とは言われるものの、アメリカの影響力の低下は否定できない。21世紀に入って、「新しい戦争」で超大国アメリカは単独(独断)主義の外交を行ない、世界システムに大幅な変化を起こしている。アメリカの役割は何辺にあるのか。国際政治場でのアメリカの有り様を「歴史的」に考えることにする。アメリカの対日本関係を意識して講義する。
学修目標  アメリカ合衆国と国際社会の関係を歴史的に学び、今日のアメリカ合衆国が国際社会にどのような役割を演じているのか、どのような貢献をしているのか、どのような問題を生んでいるのか、そして同時に日本にとってのアメリカの在り方を学んでもらいたい。日本の外交を考えるためのアメリカ理解を目ざす。
 〔春学期の「地域文明論J」(アメリカ)の受講が望ましい。〕
授業計画  アメリカの膨張主義が帝国主義的生き方を不可避としたとの認識に基づいて、アメリカ帝国主義の形成と生活・有り様を、経済的に、政治的に、国内の社会構造の面で、更に政策決定過程で働いた諸要素の観点から、アメリカ外交を考察し、最後にアメリカのヘゲモニーの崩壊を検証し、多極化した世界のアメリカ外交の役割を取り上げ、考える。冷戦後の時代の日米関係の有り様が、特に安全保障の問題を議論することで、問われているので、この問題をもケース・スタディとして考えたい。

1.大航海の時代
2.「旧世界」と「新世界」:ヨーロッパと北米
3.イギリス・フランスと北米:フレンチ・アンド・インディアン戦争
4.アメリカ独立戦争と新しい政治
5.新生国家アメリカとヨーロッパの関係
6.ウィーン体制とアメリカの対ラテン・アメリカ政策
7.モンロー・ドクトリンと西半球
8.南北戦争と日本開国
9.米西戦争と海外膨張:帝国主義のアメリカ
10.第一次世界大戦と国際連盟:ベルサイユ体制とワシントン体制
11.アメリカと平和への道:不戦条約(1928)
12.第二次世界大戦−アジア・太平洋戦争を中心に
13.孤立主義との決別:冷戦、そして「長い平和」
14.脱冷戦そして「対テロ戦争」
15.「対テロ戦争」後の日米関係
授業時間外の学習(準備学習など) 毎講義時に案内する。学生自身の学習の工夫に期待する。
評価方法 レポートorブック・リヴュー一点 20%、定期試験 80%に基づき評価する。出席チェックが出来る場合は授業参加度10%を考慮する。その場合は定期試験 70%。
テキスト アメリカ外交・国際政治・経済に関する英文論文・資料、新聞・雑誌の論説・記事(日本語・英語)を用意する。
その他 参考図書
有賀貞他編『概説アメリカ外交史』(有斐社)
木下尚一・有賀貞他編『史料が語るアメリカ』(有斐社)
細谷千博編『日米関係史』(有斐社)
ジョージ・ケナン著『アメリカ外交50年』(岩波書店)
ウィリアム・ウィリアムズ著『アメリカ外交の悲劇』(御茶の水書房)
ロバート・ダレック著『20世紀のアメリカ外交』(多賀出版)
トーマス・マコーミック著『パクス・アメリカーナ50年』(東京創元社)
ヘンリー・キッシンジャー著『外交』(上・下)(日本経済新聞社)