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留学体験報告

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留学体験報告

法学部 法律学科/韓南大学
伊藤 祐子

 私は、2009年3月から同年12月までの約10か月間、韓国大田市にある韓南大学校で語学留学をして来た。留学に際し、私が最も関心を持っていたことは、違う環境で育ち、違う考えを持つ人々との人間関係であった。言語習得は勿論であるが、現地に赴き、実際に出会い交流することで考えやその背景を知り、表面上だけなく、相手の言わんとしていることの本質を理解した上でのコミュニケーションを目標とした。
 最初は、とにかく言葉が分からなかったため、わからないことがあっても質問も聞き返すことも出来なかった。また、韓国人の中に外国人一人でいるときなどは、自分だけ会話についていけない惨めさをよく味わった。
 語学堂では、中国、モンゴルなどの世界中の国々の人と交流を持つ機会が多かった。また、学生だけでなく、社会人や軍人の方なども在籍しており、様々な年齢層と共に学ぶことは、良い刺激となった。授業だけでなく、演劇をやったり合宿に行ったりと、実習活動が多かったことも印象的だった。それぞれ国が違うために意見が割れることも多かったが、お互いに理解し、乗り越えてきた。彼らとは今でも、ときどき連絡をしている。
 学部留学だったため、学部の授業を韓国の学生と一緒に受けたのだが、全く聞き取れず、教科書も読めなかった。しかし、留学生だからといって甘えは許されない。友達に聞いたり教授に質問したりしたが結局理解できず、辞書を引きながら、教科書をひとつひとつ読んでいった。試験前には、教授の研究室に何度も伺い、夜11時すぎまで学校で勉強したこともあった。本当に辛かったが、試験が終わった時の達成感、またそれらの経験は、自信感を与えてくれると共に、一緒に勉強した友達や担当教授との人間関係をも広げてくれた。  法学部の教授の方々もとても親切で、特に外国人留学生に関心のある先生方はよく食事に誘ってくれたり、研究室でお話を聞かせてくれたりした。
 留学前から気にしていたことは、韓国人の反日感情であるが、そのような話をすることも時々あった。やはり、「日本人」という集団や日本政府に嫌悪感を持つ学生が多かったが、個人としての日本人や、日本のエンターテイメントなどには好印象を持っていると感じた。私を見て、日本に興味があると言ってくれた人も多く、嬉しく思った。しかし、一度、竹島のことが話題となり、険悪な雰囲気になったこともあった。まだまだ両国間には地雷が残っている。今後の課題として、真剣に取り組まなければならない。
 この留学を通して痛感したことは、言語はコミュニケーションの一手段であるということ、すなわち、言葉が通じなくとも、気持ちがあれば相互理解が可能であるということである。語学留学に行ったにも関わらず、このようなことを感じるのはいささか矛盾しているようだが、これが留学のパラドックスなのかもしれない。
 最後に、留学とは、多くの貴重な経験を可能とするが、容易くできるものでないということも常に念頭に置いておかなければならないと思っている。多くの人々の理解と協力、そして、精神面や金銭面での支援がなければ、この留学が実現しなかったことを思うと、自分がどれだけ多くの人々の恩恵を受けてきたかを感じ、感謝の気持ちでいっぱいである。

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