学科・教科ごとの目標 人文学部人類文化学科 高一種地理歴史
● 人文学部人類文化学科(高一種免(地理歴史))
①学科の理念と教員養成
・人類文化学科は、人間の普遍的な本質や人類文化の歴史と多様性の探究を教育研究の目標として掲げ、人間社会の基盤を理解しながら、異なる文化や価値観を持つ人々と共存することを学ぶためのカリキュラムを用意している。本学科は高等学校地理歴史の教職課程履修者に対しても、このような学科教育の根幹となる理念に基づいた教育をおこなっている。
・人類文化学科は、2000年4月の学部改組以前の文学部人類学科と哲学科を構成母体とするが、これら旧2学科の時代から現在にいたるまで、地元東海地方をはじめとして多くの教職従事者を輩出してきた。本学科の教育全体の中にあっても、高校、中学校教員の養成は、重要な柱の一つとなってきた。
②学科カリキュラムの特徴と教員養成
・本学科は、歴史学・考古学・文化人類学・哲学・言語学を専門とする研究者を中心に構成され、教育カリキュラムにおいては考古学・文化史コース、文化人類学コース、哲学人間学コースという3種の履修モデルコースを学生に提供している。学生に対してはこれらのコースにしたがってそれぞれの専門知識を深めるとともに、3コースを横断的に学習することを指導しており、その結果として高校の社会科担当者に相応しい、地歴・公民に関する幅広い教養を身につけられるよう配慮している。
・学科カリキュラムの柱となっているのが1年次から4年次までに配された必修の演習系科目と最終学年における研究プロジェクト(卒論)である。これらを通して、教職課程履修者を含むすべての学科生は、問題の発見、分析、プレゼンテーション、討論に関して繰りかえし学ぶことになる。高校における授業運営のスキルを磨き上げることにつながるものと考えている。
・本学科の教員にはフィールドワーク(現地調査)をおこなう専門家が多く、その毎年の調査対象地域は、地元東海地方と日本各地をはじめ、東アジア、東南アジア、南アジア、アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアにおよんでいる。このような広範囲におよぶフィールドワークの経験を背景として提供される学科の科目群は、グローバル化する現代世界に現在進行形で対応する内容を提供するものであり、将来の高校地歴、公民担当教員にぜひとも求められる生きた教養となるものと考えている。なお、学科科目のなかにはさらに進めて、学生を引率して現地調査(海外含む)を実践する授業も含まれ、これを履修する教職課程履修者も少なくない。
・名古屋キャンパス内には、考古学・歴史学・文化人類学関係の豊富な資料を収めた「人類学博物館」がある。必修の演習系学科科目はもちろんのこと、教職課程に充当されているいくつかの学科科目においても、博物館収蔵の実物資料を利用して学ぶ機会があり、本学科の大きな特徴となっている。博物館の利用は、教職課程履修者が、諸地域、諸民族の歴史と文化を理解するうえで貴重な実体験となるであろう。
・現在の中学校、高校においては、教員それぞれの専門性を尊重しつつも、履修科目・単位数・教員構成などを考慮し、地理歴史・公民いずれの分野をも担当することによって、円滑なカリキュラム編成がおこなわれている。人類文化学科が提供する教育カリキュラムは、このような中学校、高校における社会科教育の実際面にも対応するものであり、地歴から公民に関連する幅広い科目群を、学科カリキュラムのなかで有機的に連携させながら、さまざまな専門に対応できる社会科担当教員の養成をめざしている。
③本学科が養成をめざす高等学校地理歴史担当教員像
・以上のような学科の理念と実際のカリキュラムに基づいて、本学科が養成をめざす教員像とは、地理歴史に関するしっかりとした基礎知識の上に立って、人類に共通する普遍的価値を認識し、異なる文化、異なる宗教的信念をもつ人びとと協調しつつ教育に邁進する人材である。グローバル化が進む今日、教育現場における教員のこのような姿勢と能力はますます重要なものとなっていよう。
・同時に本学科では、フィールドワーク経験豊富な幅広い専門領域の学科教員による指導をおこない、さらには学内の人類学博物館を有効活用することによって、生きた実践力と応用力を身につけた高等学校地理歴史担当教員の養成をめざしている。