学科・教科ごとの目標 人文学部日本文化学科 高一種国語
● 人文学部日本文化学科(高一種免(国語))
①学科の理念と教員養成
人文学部は、大学の建学の精神であるキリスト教的世界観に立脚し、「人間とは何か」「人生とは何か」「人と人の対話はいかになされるべきか」といった根元的な問題を深く考えることと同時に、人文学の専門分野を深く追究しながら、幅広い教養的知識と人間に関する深い洞察力を養えるよう教育を行うことを目的としている。日本文化学科は、このような学部の理念に基づき、日本語、日本文化、日本文学を内部からの目で見つめること、そして他の言語や文化との比較を通して見ることの二つの視座を重要視している。それは「日本」を理解し、また自己を反省し検証する方途を見つけることに繋がるからである。内と外、両方の視点に立って「日本」を見つめる研究を、教育に生かすことで、世界に向けて、「日本」を語ることのできる有能な人材を養成することを目指している。
こうした学科の理念は、国語科の教員養成においても堅持され、教職課程履修者にも同様の教育を施している。
②学科のカリキュラムの特徴と教員養成
本学科には日本語学(言語学)、日本語教育学、日本文化学、日本文学を専門とする13名の教員を配置しており、それぞれの分野を内部からの目で見つめ、かつ他の言語や文化との比較を通して見ることにより、これらを深く理解し客観的に検証する能力を身につけられるようにカリキュラムが構成されている。1年次からは共通教育科目等を通じて幅広い知見と物の見方を教え、2年次以降は日本語学、日本語教育、日本文化、日本文学の四領域にわたる多種多様な学科科目の履修によって、専門的な知識を習得できるようになっている。それらと並行して、1・2年次の日本文化学基礎演習科目では、アカデミックリテラシーの教育と、上記4分野の概要を知る機会を提供している。また「からだとことば」、「文章表現法」という科目を通して、からだとことばを用いて自分を表現する力、論理的で明快な文章を書くための基本的な手順や技法を習得することができる。3・4年次のゼミでは、少人数のクラスで読解や調査の訓練を繰り返し行い、大学での勉学の集大成である研究プロジェクト(卒業論文)作成を目指すというカリキュラムになっている。最終学年度に履修する研究プロジェクトにおいては、本学科の学生が教育モットーに基づいて、社会に貢献しようとする姿勢を保ち、世界に向けて日本を語ることのできる力を持つ人間となることを求めている。より具体的には次のような能力を備えた学生を育てるのが目標である。日本語学、日本語教育、日本文化、日本文学についての基本的な知識を体得していること、一定の領域の文献を調査し、先行研究の要旨をまとめる能力を持っていること、様々な問題に対するアプローチに妥当性と信頼性があること、文献の扱い方・引用などが妥当で、その読み・解釈が正確であること、そして研究成果に自分のオリジナルな意見を盛り込むことができること、である。
また本学に併設されている外国人留学生別科において行われている外国人に対する日本語の教育においても本学科の教員2名が深く関わっており、他の教員も学科と外国人留学生別科とに共通に開講されるオープンコースを担当することで両組織の教育が本学科の学生の教育に連関を持つ形になっている。
このようなカリキュラムで勉強する学生は、日本語と日本の文学について深い知識を得るだけでなく、背景にある日本の文化の諸相や歴史について、日本の文化・文学と関連の深い中国文学についても学ぶこととなる。また研究プロジェクトを通して、文献を精査する訓練を施され、筋の通った論考を執筆する能力も会得している。こうした素養が国語科の教員養成において大変重要であることは言うまでもなく、優秀な国語科教員の養成に寄与していると言える。同時に外国人に日本語を教えるということにも目を向けることができ、今後一層グローバル化・多文化社会化していく日本における将来の国語教育に貢献できる人材の養成にも一役買っていると言える。